「学資保険」は教育資金を準備する方法の一つとして人気ですが、以前は高かった利回りが低下傾向にあり、金融商品の選択肢が増えた昨今は、誰でも入ったほうが良い保険ではなくなりつつあります。
今回は、学資保険が必要な人・いらない人の条件を解説しつつ、学資保険以外の教育資金の準備方法なども紹介していきます。
子どもの将来のお金について考えている方は、ぜひ参考にしてください。
「ほけんのぜんぶ」は、ファイナンシャルプランナー(FP)が学資保険や教育資金の相談、資産運用、家計の見直しなど、お金に関する悩みの相談に対応してくれます。
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学資保険の必要性。保険に入る理由とは?
赤ちゃんが生まれると、うれしい気持ちでいっぱいになる反面、決めなければならないこともたくさん出てきます。
その一つが、「子どもの教育資金をどうするか」についてです。
以前は学資保険の返戻率(へんれいりつ)が今よりも高かったため「大学の入学費用は学資保険でまかなった」という家庭も多かったのですが、現在は教育資金の準備方法も多様化しています。
そもそも教育資金はいくらかかるの?
そもそも、教育費用はいったいどのくらい必要なのでしょうか。まずは、下の表を確認してください。
区分 | 国公立の場合 | 私立の場合 |
幼稚園 | 223,647円/年(3年で670,941円) | 527,916円/年(3年で1,583,748円) |
小学校 | 321,281円/年(6年で1,927,686円) | 1,598,691円/年(6年で9,592,146円) |
中学校 | 488,397円/年(3年で1,465,191円) | 1,406,433円/年(3年で4,219,299円) |
高等学校(全日制) | 457,380円/年(3年で1,372,140円) | 969,911円/年(3年で2,909,733円) |
大学(昼間部) | 637,700円/年(4年で2,550,800円) | 1,373,900円/年(4年で5,495,600円) |
合計 | 698万6,758円 | 2,380万526円 |
参照:文部科学省「平成30年度子どもの学習費調査」
参照:独立行政法人日本学生支援機構 平成30年度学生生活調査」大学昼間部
文部科学省ならびに日本学生支援機構の資料によると、幼稚園から大学まですべて国公立を選んだ場合でも、子ども一人にかかる学費は約698万円となる計算です。
幼稚園から高校までは公立、大学は私立を選んだ場合は約993万円、幼稚園から大学まで全部私立に進学した場合は、なんと約2,380万円もかかります。
また、大学の学費にはこれに加えて入学金があり、選択した学部によっては授業料が大きく変わります。大学へ通うために一人暮らしをするとなれば、生活にかかる費用の援助も必要でしょうし、大学院や専門学校へ進学をするかもしれません。
ですが、急に大きな金額を用意するのは大変ですよね。こうした経済的な負担を軽くするために、学資保険があります。学資保険は、毎月一定額の保険料を積み立てることで、満期時に支払額よりも多い金額を受け取ることを目的とした保険です。
子どもの医療保障や育英年金など、保障が多い保険の場合は、受取額が元本割れ(受取額が支払額よりも少なくなること)となる可能性もあります。
学資保険が必要で契約をおすすめできる人
学資保険は、以下のような方に検討をおすすめします。
- 教育資金をこれから貯める方
- コツコツ貯めるのが苦手な方
- 資産運用などは不安・確実に貯めたい方
- 赤ちゃんが生まれたばかり・または妊娠中の方
教育資金をこれから貯める方
教育資金をこれから貯めるというタイミングなら、まず学資保険を検討してみることをおすすめします。毎月一定額を半ば強制的に積み立てていくので、貯金が苦手な人でも教育資金をしっかり準備できるという点が大きなメリットです。
保険会社によってさまざまなプランがあり、一人ひとりにあったオーダーメイドプランを設計してもらえますので、「いくら貯めたいのか」「毎月の保険料がいくらなら払えるのか」など、自分にあった学資保険を見つけられるでしょう。
毎月の保険料がいくらになるのか不安な方は、こちらの記事も参考にしてください。
コツコツ貯めるのが苦手な方
上記の項目と少し重なりますが、自分でコツコツと貯蓄していくのが苦手な方は、ぜひ学資保険を利用しましょう。
毎月決まった金額が銀行口座から引き落とされるため強制的に貯蓄できますし、保険料を支払い忘れてしまうということもありません。コツコツは苦手、でも計画的に教育資金を貯めたいという方は、学資保険という制度をぜひ利用してください。
資産運用などは不安・確実に貯めたい方
現在は資産運用のハードルが下がり、誰でもインターネットを利用して気軽に投資信託や株式運用などを始められるようになりました。
しかし、投資を成功させるためには正しい知識が必要ですし、元本が保障されないというリスクも伴います。ハイリスク・ハイリターンな資産運用で教育資金を貯めることに、不安を感じる方は多いのではないでしょうか。
学資保険も元本が保障されているわけではありませんが、保障が少ない「貯蓄型」であれば元本よりも多くの保険金を受け取れる可能性は高いですし、「積み立てた金額が何年後にどのくらい貯まるのか」が事前に確認できるため、安心です。
赤ちゃんが生まれたばかり・または妊娠中の方
学資保険には「出生前加入制度」という制度があるため、妊娠中でも申し込み可能です。保険会社によって条件が異なりますが、出産予定日の140日前から申込可能としているところが多いようです。
加入時期が早いほど積立期間が長くなるため、月々の保険料を少ない金額に抑えられ、かつ返戻率も上がりやすくなるというメリットもありますので、ぜひ早いうちから夫婦で教育資金について話し合ってみてはいかがでしょうか。
こちらの記事では、妊娠中でも申し込める学資保険など、おすすめの学資保険を紹介しています。
「ほけんのぜんぶ」は、ファイナンシャルプランナー(FP)が学資保険や教育資金の相談、資産運用、家計の見直しなど、お金に関する悩みの相談に対応してくれます。
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学資保険が不要な人はこんな方!入らない理由とデメリットについて
教育資金の準備のために有効な学資保険ですが、すべての方にとって必要な保険というわけではありません。学資保険に入らない方の多くは、以下のような理由で未加入を決めているようです。
- お金がない
- すでに十分な財産がある
- 自分で資産運用できる
- どの学資保険が良いかわからない
- 定期預金などで準備できる
- 元本割れのリスクが不安
それぞれの理由を、もう少し詳しく見ていきましょう。
お金がない
学資保険に加入すると、毎月決まった金額の保険料を支払う必要があります。
一般的な学資保険の保険料は月々1万円前後(金額は契約内容によって異なります)となることが多いので、ある程度の経済的余裕がないと毎月の支払いは難しいかもしれません。
すでに十分な財産がある
すでに十分な財産を有しており、教育資金を準備する必要がないのであれば、学資保険は不要かもしれません。
ただし、その場合は経済状況の変動に備え、教育資金は別管理しておくことをおすすめします。
自分で資産運用できる
資産運用ができる方なら、学資保険よりも高利率でお金を増やせる可能性があります。子どもが大きくなってお金が必要になるまで年数をかけて長期運用できるので、リスクも抑えられるでしょう。
注意点は、大学入学などのお金が必要なタイミングで、ちょうどよく利益が出ているかどうかはわからないということ。毎月の掛け金の半分を学資保険に回し、半分を自分で資産運用するといった分散投資も有効です。
どの学資保険が良いかわからない
検索エンジンで「学資保険」と検索すると、さまざまな保険会社の学資保険商品が検索結果を埋め尽くします。あまりにもたくさんありすぎて、結局どの保険会社が良いのかわからないと敬遠してしまう方もいるかもしれません。
判断基準はあくまでもそれぞれですが、例えば生命保険に加入している方なら、その保険会社の学資保険を検討する、安心できる大手保険会社の学資保険の資料を一括で取り寄せる、複数の保険会社を取り扱う保険代理店で無料相談してみる、といった工夫が必要です。
学資保険に興味はあるものの保険選びが難しいという理由で二の足を踏んでいる方は、まず情報を集め、必要に応じて専門家に相談してみることをおすすめします。
定期預金などで準備できる
自分でコツコツと貯蓄できるという理由で、あえて学資保険を利用しない方もいます。
実際、ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査2020」によると、高校生の親、大学生の親ともに、学資保険よりも銀行預金で準備している人が多いとのこと。
現在は低金利のため銀行預金の利息はあまり期待できませんが、銀行預金には元本割れのリスクがないため安心できるという意見もあります。目標金額に向けてコツコツ自分で貯めていける方や、そもそもすでに預貯金の準備がある方は、学資保険は必要ないでしょう。
元本割れのリスクが不安
学資保険は、元本割れのリスクがある金融商品です。
具体的には、途中解約をすると元本割れのリスクがあります。最後まで積み立てをする自信がない方は、学資保険よりも銀行預金などを利用したほうがいいかもしれません。また、子どもの医療保険などの保障が付帯した、いわゆる「保障型」の学資保険も元本割れのリスクが高いです。
学資保険の代わりに教育資金を貯める方法
子どもの教育資金を準備する方法として、学資保険以外にもいくつかの選択肢があります。
教育資金の準備には、以下のような方法が有効です。
- 定期預金・積立定期預金
- つみたてNISA
- ジュニアNISA
- 低解約返戻金型終身保険
- 外貨建て保険
定期預金・積立定期預金
定期預金とは、銀行に預けたお金を一定期間引き出すことができない代わりに、通常の普通預金よりも金利が高く設定されている金融商品です。預け入れ期間を選べる場合が多いので、資産の一部を10年定期預金に入れ、残りを5年定期に入れるといった組み合わせも可能です。
短期間の定期預金よりも長期間のほうが高金利の傾向にありますので、解約しないと決めているのであれば長期間の定期預金も検討しましょう。
また、一定額を毎月積み立てていく積立定期預金という方法もあります。普通預金から自動的に積み立てられるので、無理なく貯蓄を始められるでしょう。
注意点は、定期預金には中途解約ができない、解約すると手数料がかかるといったリスクも存在するということ。積み立てる金額を高く設定しすぎて、「生活費が足りなくて定期を解約してしまう」ことがないように気をつけましょう。
つみたてNISA
つみたてNISAとは、長期間の積立投資に対する税制優遇制度です。
毎月少額ずつ積み立てて対象の投資信託商品に投資する方法で、最小で100円からと少額から積立投資できるため、初心者にも始めやすいのが特徴。年間40万円まで(月3万3千円程度)、最長20年の間、分配金や値上がり益が非課税になります。
運用成績や経済状況によっては大きく元本割れを起こすリスクもありますが、複数の投資対象に長期間積み立て続けることで、ある程度のリスク分散が可能です。子どもが成長するまでの長期間運用が可能なので、教育資金を貯める方法としても有効なのではないでしょうか。
ジュニアNISA
ジュニアNISAも、資産運用に対して税制優遇を受けられる制度です。0歳から19歳までの未成年の子ども名義で口座を開設し、運用は親権者が代わりに行います。
年間80万円まで、最長5年間は非課税での運用が可能です。子どもが18歳になるまでは払い出しができず、子どもが20歳をすぎると自動的に一般のつみたてNISA口座になります。
注意点は、投資可能期間が2023年までと決められているので、今から申し込みをしても最長期間まで投資することができないという点です。投資期間が少ないので、それ以降は運用のみとなりますが、残りの期間も子どもが20歳になるまでは非課税で維持保有が可能です。
そのあたりも加味して、選択肢の一つとして考えてみましょう。
低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は終身保険の一種で、保険料が安く抑えられる代わりに、途中で解約した場合の解約返戻金が低い保険のことです。
途中解約をせずに保険の払い込みを終えると、解約返戻金が高くなります。
毎月の保険料の支払いが抑えられるというメリットがあり、払込期間が終了すればいつでも解約できるので、学資保険よりも自由度が高く、受け取るタイミングも自由に決められます。大学入学時に受け取らなければそのまま預けておくことも可能ですし、加入にあたり学資保険のような対象年齢の制限もありません。
ただし、教育資金として利用する場合は、解約後に万が一の保障がなくなってしまいます。他に生命保険を契約していない場合は、改めて生命保険に加入しておきましょう。
外貨建て保険
外貨建て保険とは、保険料を外貨で支払う保険のことです。
「米ドル・豪州ドル・ユーロ」が外貨建て保険の対象外貨で解約返戻率も高いため、注目の保険の一つと言ってよいでしょう。
ただし、外貨建て保険は世界の経済事情に左右されるので、為替相場の変動によって保険料も返戻率も常に変化します。例えば、円安になると保険料が高くなり、払いきれない事態になる不安もあります。
また、解約するタイミングが選べないので、教育資金の準備として利用する場合は為替の状況次第で元本割れのリスクもあります。リスクを知った上で、資産運用の方法の一つに入れておくといいかもしれません。
学資保険の代わりになる貯蓄方法が気になる方は、こちらの記事も参考にしてください。
学資保険の検討は必要!自分たちに合うプランを選ぼう
教育資金を貯める方法は学資保険に限りませんが、妊娠中や生まれたての赤ちゃんがいる家庭で「教育資金を貯めたいけれどどうしていいのかわからない」という方は、学資保険の検討から入ることをおすすめします。
学資保険にも種類がたくさんありますし、その中で自分たちに合うプランがなかった場合は、積立定期預金・つみたてNISAなど、学資保険以外の教育資金の貯蓄方法を考えていくと、スムーズにすすめられるのではないでしょうか。
ある程度子どもが大きくなってから学資保険に加入すると、保険料が高くなりますし、年齢によっては加入できない場合もあります。
大切な子どものためにも、無理なく教育資金を貯める方法を家族で話し合ってみましょう。
学資保険はプロに無料相談
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こちらの記事では当サイトおすすめの学資保険を紹介していますので、あわせて参考にしていただき、納得のいく保険選びにお役立てください。
学資保険が必要かどうかしっかり考えて早めに動こう
今回は、学資保険が必要な人・いらない人の条件を解説しつつ、学資保険以外の教育資金の準備方法などを紹介しました。
学資保険の必要性を考えるときは、まず教育資金がいくらかかるのか把握して、学資保険を入らないデメリットと入るメリットを比較しながら検討してみてください。
学資保険のことがわからなくて悩む場合はプロに相談するのもおすすめです。その際は、複数の保険会社の商品を扱う保険代理店を活用するといいでしょう。
清水凌|ファイナンシャルプランナー 保有資格:FP技能士2級/証券外務員I種/web解析士 学習院大学法学部法学科卒。 インターネット企業で大手出版社や大学メディアのコンサルティング業務全般に従事。 プライベートでは財テクメディアを運営し、投資・ポイ活関連の情報を発信している。