【医師監修】突発性発疹の原因、症状、対処法について

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師松井 潔 先生
小児科 | 神奈川県立こども医療センター 産婦人科

愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等、同総合診療科部長を経て現在、同産婦人科にて非常勤。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。

 

突発性発疹イメージ

 

赤ちゃんが生まれて初めて発熱したときには、焦ってしまう方も多いのではないでしょうか。赤ちゃんの生まれて初めての発熱の原因の1つに突発性発疹があります。

突発性発疹は予後が良いとされているので、落ち着いて対処することが大切です。
ここでは、突発性発疹の症状や原因、対処法などをご紹介します。

 

 

突発性発疹とは

私たちの体は外敵から守るために免疫機能がはたらくと、その反応として発熱が起こります。新生児は母体から受け取った免疫を持っているため、生後6カ月ごろまでは細菌やウイルスに感染しにくいとされています。

 

しかし、生後6カ月ごろになると母体からもらった抗体が少なくなっていき、細菌やウイルスに感染しやすくなります。そのため、生後6カ月以降に初めての発熱を経験する赤ちゃんが多く見られるのです。そして、初めての発熱の原因として多いのが突発性発疹です。生後6カ月~2歳までに多い感染症です。
 
突発性発疹は38~39℃の比較的高い熱が突然出ます。しかし、体調が悪いときの不機嫌や哺乳不良などは少なく、高熱の割に元気で比較的機嫌よく過ごすことが多いとされています。


発熱は2~3日程度続き、熱が下がってから顔や胸、おなかなどに花びらを散らせたような形の赤い発疹が広がるのが特徴です。花びらの形は、隣り合った発疹が繋がることで形成されます。また、発疹が現れる直前に永山斑と呼ばれる赤い斑点が喉の奥にできることがありますが、判別が難しいため確定診断には至らないことが多いようです。
 
ほとんどの突発性発疹は、熱が下がり、境界がはっきりした赤い発疹が現れたことを確認して診断されます。それまでは診断ができないので、ほかの病気の可能性を考えておく必要があります。


発疹は2~3日程度で消えます。そのほかに下痢やリンパ節の腫れ、眉間から頭頂部の付近にかけてある大泉門の腫れなどの症状が現れることがあります。


もともと熱性けいれんが起きやすい年齢で、高熱が出る病気のため、熱性けいれんを伴うことがあります。ただ、熱性けいれんが起こったときは、ほかの病気の可能性もあるため受診しましょう。

 

また、まれにではありますが次のような合併症を起こすことがあります。
・脳炎・脳症(けいれん、意識の低下、脳の全体的な機能の低下)
・劇症肝炎(炎症が非常に強いことで肝臓の機能が著しく低下する)
・血小板減少性紫斑病(血小板が減少することで出血しやすくなる)


20分以上のけいれんや、意識の混濁・喪失、白目が黄色くなる、内出血が多くみられるなどの症状が現れた場合は合併症が疑われるので、すぐに病院を受診しましょう。また、嘔吐をくり返したり呼吸が苦しそうであったりする場合も、すぐに受診したほうが良いでしょう。

 

突発性発疹の原因は?うつる?

突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)の感染が原因で、まれにヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)、コクサッキーウイルスなどの感染によって発症します。日本では、2歳までの間にほとんどの子どもがこのウイルスに感染します。感染から発症までの潜伏期間は約10日です。
 
感染経路は、咳やくしゃみなど唾液を介してうつる飛沫感染とされていますが、詳しいことは解明されていません。発疹が現れるころにはウイルスの数が減少しているため、人にうつる可能性が低くなっています。


また、感染しても症状が現れない不顕性感染(ふけんせいかんせん)が20~40%程度にみられます。

 

突発性発疹の治療方法と対処法

突発性発疹に特効薬はありません。ほとんどの場合は治療をおこなわず、自然に治る病気ですから、症状の軽減を目的とした対症療法をおこないながら経過観察します。

 

感染しても発症しない乳幼児がいるため、突発性発疹を完全に予防する方法はありません。発症したときには一般的な発熱と同じ方法で対処しましょう。できるだけ安静にして、十分に睡眠をとれるよう環境を整えてください。睡眠不足などで体力が落ちると、免疫力が低下する恐れがあります。
 
また、こまめに水分補給をさせることも大切です。下痢をしている場合は水分と共に電解質も失われるので、医師の指示により経口補水液(脱水症状のある人のための飲料)を飲ませることがあります。
 
突発性発疹の発熱で体調が悪いように感じる場合は解熱剤を使っても良いとされていますが、時間が経つと再び発熱するため、解熱剤は熱によるつらさを軽減するのが主な目的です。


体温の急激な上昇に伴って寒気に襲われ、手足が冷たくなったり唇の色が悪くなったりするなどの症状が現れることがあります。このような場合は、普段よりも一枚多く服を着せたり、布団をかけたりしましょう。
 
熱が上がりきって暑がるような素振りを見せた場合は、服や寝具を1枚減らして熱を放散させてください。元気であれば、ぬるめの湯に入浴してもOKです。湯冷めをしないように、入浴後はしっかりと体を拭いて服を着せてあげましょう。


もし、2~3日経過しても熱が下がらず発疹も見られないような場合は、ほかの感染症の可能性もありますので、受診してください。

 

まとめ

突発性発疹は予後が良いため、症状を和らげることを目的とした対症療法のみで様子を見ることがほとんどです。


初めての発熱で機嫌が良く、母乳や育児用ミルクもしっかり飲んでいるのであれば、突発性発疹の可能性が高いでしょう。ただし、20分以上のけいれんが続くときや白目が黄色くなるなどの症状が現れた場合は、すぐに受診してください。
 
夜間や週末で病院が休診のときには、自治体ごとに決められている小児救急の当番病院で対応できます。突発性発疹について確認しておき、正しく対処しましょう。

 

 

 

 

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