【助産師監修】赤ちゃんのげっぷの出し方・出ない時の対処法

この記事の監修者
監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

赤ちゃんげっぷイメージ

 

赤ちゃん(特に新生児〜生後3カ月ごろまでの赤ちゃん)は授乳した後、げっぷと一緒に母乳や育児用ミルクを吐いてしまうことが多いので、ママは心配になるかもしれません。また、「げっぷをさせようと頑張ってもなかなか出ない」など、げっぷの出し方で悩んでいるママも多いと思います。今回は、赤ちゃんのげっぷの出し方やげっぷがうまく出ないときの対処法、注意点などについてご紹介します。

 

 

赤ちゃんにげっぷをさせる理由

赤ちゃんだけではなく、子どもや大人も同じですが、飲食をすると一緒に空気も飲み込んでしまいます。その空気や胃の中のガスが出てくるのが「げっぷ」です。

 

ある程度、成長すると自分でげっぷを出せるようになりますが、生まれて間もない赤ちゃんはうまくげっぷを出せません。おなかに溜まった空気をうまく外に出せないと、おなかが膨らんで吐いたり、腹痛、便秘につながったりすることもあるので、げっぷをさせておなかに溜まった空気を出す必要があります。

 

 

げっぷが不十分なときに現れやすい症状

げっぷが出ないと、おなかにガスが溜まって大きく膨らんだり、おならが増えたりします。また、おなかがガスで圧迫されることによって腹痛が起こり、不機嫌になって泣きやまないといったこともあるので、症状を把握するためには機嫌の良さや泣き方も重要です。

 

たとえば、突然、激しく泣き出し、抱っこしたりおもちゃであやしたりしても泣きやまず、しばらくすると急に泣きやんだという場合は、げっぷが十分できていない可能性があります。

 

 

赤ちゃんのげっぷの出し方

〇赤ちゃんのげっぷを出す方法

赤ちゃんの首がすわるまでは、赤ちゃんをたて抱きにしてママの肩に「担ぎ上げる」ようにし、背中を「下から上に向かって」さすったり、トントンと軽く叩いたりしましょう。トントンと叩く場合も同じ場所で繰り返すより、「下から上」を意識して少しずらすほうがよいと言われています。

 

〇げっぷを出すときの抱っこの高さ

抱っこの高さとしては、赤ちゃんの顔がママの肩より低い位置になっている場合が多いようです。しかし、赤ちゃんの顎がママの肩にかかるくらいまで高い位置に担ぎ上げるほうが、げっぷが出やすいので「少し高め」に抱っこしましょう。なお、赤ちゃんが吐いてしまう可能性もあるので、ママの肩にタオルかガーゼをあてておくと安心です。

 

〇げっぷを出すまでにかける時間

げっぷについては、20分ほどチャレンジするように推奨している医師もいますが、「げっぷが出なければ、無理に出す必要はない」という意見もあります。そもそも母乳の場合は、哺乳瓶で飲ませるときより飲み込む空気の量が少ないので、げっぷもあまり出ません。

 

げっぷを促すのは「ママが疲れない程度に」5分くらいを目安にするとよいでしょう。ただ、5分程度にしても、肩まで高く抱っこするのはママも大変です。赤ちゃんの首がすわり始めたら、ママの太ももの上に赤ちゃんをおすわりさせて少し「前かがみ」にして背中をさする方法がよいでしょう。

 

〇げっぷを出すときの赤ちゃんの姿勢

前かがみにするときの赤ちゃんの支え方は、沐浴で背中を洗うときをイメージしてください。ママの親指を赤ちゃんの肩に、他の4本の指を脇に入れて赤ちゃんの腕をはさむようにしっかり支えましょう。

 

赤ちゃんの背中が反っているより、丸めた姿勢のほうがげっぷが出やすいと言われますが、赤ちゃんによってげっぷの出やすい姿勢には違いがあるようです。抱っこしたときの高さや前かがみの加減を「ちょっと変えてみたら、げっぷが出やすくなった」ということもあります。自分の赤ちゃんに適した方法がわかるまでは大変かもしれませんが、少し工夫しながらママと赤ちゃんにとって少しでもラクな方法を探しましょう。

 

 

赤ちゃんがげっぷを出せないときの対処法

赤ちゃんのげっぷが出るようにママが頑張っても、思うように出てくれないことも多いです。一方で、げっぷをさせずに寝かせると「吐いた物で窒息する可能性がある」などの指摘もあるので、「げっぷが出ないと不安で仕方がない」「授乳のたびに憂うつになる」というママの声も聞かれます。それでは赤ちゃんのげっぷが出ないときはどのように対処したらいいのでしょうか?

 

体勢を傾けて寝かせる

5分くらい試してげっぷが出ないときは、赤ちゃんの機嫌がよければ無理にげっぷを出そうとせず、赤ちゃんを寝かせてかまいません。げっぷが出ないときの寝かせ方としては、赤ちゃんがずり落ちない程度に、座布団やクッションなどを使って 赤ちゃんの上半身を高くする方法があります。また、丸めたバスタオルなどを体の左側にはさんで右側に少し傾くように寝かせる方法があります。げっぷが出ないまま赤ちゃんを寝かせるときは吐いたものがのどに詰まらないように顔を横に向けておきましょう。

 

肛門を刺激する

飲み込んだ空気をおならとして出せるように綿棒で肛門を刺激するのも1つの方法です。綿棒の先端にベビーオイルなどの潤滑油を付け、赤ちゃんの肛門に挿入した後、円を描くように綿棒の先端を動かし刺激します。この刺激によって、おならやうんちが出てきます。

 

 

赤ちゃんのげっぷを出すときの注意点

げっぷがなかなか出ないと「げっぷを出さなくちゃ!」と必死になってしまい、赤ちゃんの背中を叩くときに思わず力が入ってしまうママもいらっしゃるかもしれません。しかし、大切なのは「やさしくおこなう」ことです。「叩くときに、つい力が入ってしまう」という人は、腰から背中に向かってさすってあげましょう。

 

1日に2~3回、 大きなゲップとともに「ゲボッ」と一気に吐く場合はげっぷが不十分なことが多いので、授乳の途中で1回げっぷを出すと嘔吐が減少する可能性があります。しかし、げっぷが出なくても、飲み込んだ空気はおならとして出ることもあるので、赤ちゃんが吐いた後も機嫌がよく、体重も増えているなら過度に心配せず様子を見ましょう。

 

げっぷによる嘔吐と病的な嘔吐の区別が重要

赤ちゃんが嘔吐した場合、それがげっぷによるもので心配しなくてよいものなのか、それとも病気の可能性があり受診が必要なのかを区別することが重要です。

 

げっぷと一緒に吐いたり、咳などでおなかに力が入って吐いたものであれば、特に心配はいらないでしょう。

 

しかし、嘔吐を繰り返している場合、あるいは噴水状に吐いた場合、吐いたものの中に血液や胆汁が混じっている場合、発熱を伴う場合などは受診してください。繰り返し嘔吐している場合は、体の中の水分量が不足して脱水につながる可能性があるので、夜中でも早めに診てもらうことが大切です。

 

 

まとめ

赤ちゃんがなかなかげっぷをしないと心配になってしまうかもしれません。5分ほど赤ちゃんの背中をさすったり軽く叩いたりしてもげっぷが出ない場合は、赤ちゃんの体勢を整え、寝かせてもかまいません。授乳のたびにげっぷをさせるのは大切ですが、あくまでママが疲れない程度とし、抱っこの仕方を少し工夫しながら赤ちゃんに適したげっぷの出し方を見つけましょう。

 

 

 

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