流産の種類と時期別の割合、原因、症状や兆候、予防法について

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無事妊娠が確定しても残念ながら統計的には全妊娠の15%ほどの確率で流産は起こります。流産は誰にでも起こる可能性があり、決して珍しいことではありません。今回は自然流産の原因や症状、予防法などについてお話ししていきたいと思います。

 

 

流産とは

妊娠22週未満で起こる妊娠の終了を「流産」と言います。流産は、妊娠12週未満に起こるものを早期流産、妊娠12週以降に起こるものを後期流産と言います。また、自然に妊娠が終わることを自然流産、人工的に妊娠を終わらせることを人工流産といいます。

 

自然流産は、経過や子宮の中の状況により、次のように分類されます。

 

切迫流産

少量の性器出血や軽度の腹痛、腰痛などの症状があり、流産となる可能性があるものの、症状が治まれば妊娠の継続が期待できる状態のことです。この段階では、子宮内の袋(胎嚢/たいのう)や胎児には異常をみとめません。

 

進行流産

切迫流産とは違い、流産が進行してしまっている状態です。出血が多くなり、陣痛のようなおなかの痛みが出てきます。胎嚢や胎児の一部または全部が出血とともに子宮の外に押し出されてきます。

 

完全流産

進行流産のうち、胎嚢・胎児などが完全に子宮から押し出されてしまった状態です。今まであった出血や腹痛は軽くなる、又はなくなります。

 

不全流産

進行流産のうち、胎嚢や胎児、あるいはそれを包んでいる子宮の組織が完全に押し出されず、子宮の中に一部が残っている状態です。出血や腹痛が続きます。

 

稽留(けいりゅう)流産

出血や腹痛などの症状がないのに、胎児の成長が止まって心拍が確認できなくなっている状態です。ある程度時間がたつと出血が始まることもあります。

 

不全流産の場合は、胎嚢や胎児などを子宮の中から出す、「子宮内容除去術」と呼ばれる手術が必要になることもあります。稽留流産の場合も、胎嚢が大きい場合には大量出血の可能性があるので、出血が始まる前に同様の手術が必要となることがあります。

 

 

 

妊娠時期別の流産の割合と原因

自然妊娠では、約15%の割合で流産が起こります。そのうち早期流産が13.3%で、後期流産が1.6%と、妊娠初期に流産が多く起こっています。

 

早期流産の原因としては、胎児の染色体異常が最も多いです。男女共に年齢が上がると精子や卵子が老化するため、受精卵に染色体異常が起こる確率が上がります。また、お母さんの年齢が上がるにつれて流産する確率は上がり、特に40歳以上では流産が起こる確率は40%になります。


妊娠初期に起こる流産は、胎児側に原因がある場合がほとんどですので、流産となってしまった場合でもお母さんは自分を責めないであげてください。

 

 

 

流産の症状、兆候

流産では、性器出血や腹痛、腰痛、おなかが張る、基礎体温が下がる、つわりが突然なくなるなどの症状が見られることもありますが、稽留流産のように何も症状のない流産もあります。

 

また、妊娠初期には流産とは無関係に、着床出血や妊娠月経と呼ばれる性器からの出血がみられることがあります。またホルモンの状態が変化することで、腰痛や軽度の腹痛が起こりやすくなります。

 

こうした症状があっても必ずしも流産とは限りませんので、取り越し苦労はしないほうがよいですが、気になる場合はかかりつけの産婦人科で相談しましょう。

 

 

 

流産の予防法

妊娠12週未満の流産は、胎児の染色体異常が原因で起こる可能性が高く、予防法は今のところありません。しかし、お母さんが気をつけられることもあります。


●無理な運動をしないようにする
下腹部に力が入る運動は、おなかが張りやすいので避けたほうが良いです。日常生活では、階段の上り下りや重い荷物を持たない、車の運転や自転車に乗らないようにするなどの場面に注意しましょう。また仕事や家事をするときも無理をせず、周りの力を借りるようにしましょう。

 

●体を冷やさない

妊娠中は、体が冷えるとおなかが張りやすくなります。そのため、温かい飲み物を飲んだり、おなかを温めるために使い捨てカイロや腹巻きの活用、足首にレッグウォーマーや靴下を履くなどして体を温められると良いですね。

 

●ストレスをためないようにする
妊娠中はホルモンのバランスが崩れ、いつもよりストレスを感じやすくなります。ストレスが溜まると子宮の収縮を促すホルモンが出るため、おなかが張りやすくなります。ストレスを感じたら、好きな音楽を聴いたり、本を読んだりしてストレス発散をしていくといいでしょう。

 

●性生活について
性交についてですが、切迫流産の兆候がない方も妊娠初期には控えたほうが良いとされています。性交は、子宮の収縮などを促しやすいため、回数が多いと流産の原因となることもあります。早産の兆候がある方や、以前早産の経験がある方も控えるべきです。不潔な性行為は、炎症や流早産の原因となる細菌感染を起こす可能性があるので注意しましょう。

 

その他にも妊娠中期での流産の原因として、子宮頸管無力症や子宮筋腫などがあります。妊娠を希望する方は早めに産婦人科に受診して相談すると良いでしょう。
 

 

 

 

まとめ

流産は誰にでも起こる可能性がありますが、妊娠初期に多く起こっています。妊娠12週未満の流産は胎児の染色体異常が原因で起こる可能性が高く、予防法は今のところありません。ですが、無理せず、ストレスのない生活を心がけることも大切です。子宮頸管無力症や子宮筋腫なども流産の原因となるので、妊娠を希望する方は早めに産婦人科に受診して相談すると良いでしょう。

 

参考文献
・杉浦 真弓;【産婦人科救急治療ガイド】産科救急疾患とその初期治療 母体 流産(解説/特集)

・岡庭 豊;産婦人科治療(0558-471X)84巻増刊Page738-740(2002.05)
・病気が見えるvol 10産科第2版 メディックメディアPage80-83(2009.09)

 

 

 

 

 

◆流産に関するQ&A

 

 

監修者

医師 福岡 正恒 先生

産婦人科 | 産婦人科医


京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医、京都大学医学博士。


経歴

京都教育大学附属京都小学校、洛星中学校・高等学校、京都大学医学部 卒業
京都大学医学部附属病院にて研修後、市立伊勢総合病院・京都桂病院での勤務(医員)を経て、京都大学大学院医学研究科へ進学。生殖内分泌学の研究や不妊治療に従事

昭和63年 医学博士を取得

平成4年 京都大学医学部助手となり、婦人科病棟医長として子宮筋腫や子宮ガン等の診療に従事

平成 6~7年 英国スコットランドのエジンバラ大学生殖生物学研究所に留学、帰国後は、産科病棟副医長として周産期診療に従事
平成10年 京都大学大学院医学研究科 講師
平成11年 産科婦人科 福岡医院 開院

 

■専門領域

日本産科婦人科学会 専門医
母体保護法 指定医


2017/10/20

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