【医師監修】セックスレスの不安と工夫
妊娠をするには、排卵日の前後にセックスをし、卵子と精子がタイミングよく出会う必要があります。しかし、この「排卵日セックス」にばかりこだわると夫婦生活がストレスになり、なかなか妊娠できないことも少なくありません。リラックスして子づくりしやすくなる性生活について、一度じっくり考えてみましょう。
セックスレス夫婦は増えている
日本性科学会によると、セックスレスは「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアルコンタクトが1カ月間以上ないこと」と定義されています。
日本家族計画協会が2014年におこなった調査によると、1カ月以上セックスしていない夫婦の割合が44.6%と2012年の前回調査よりも3.3%増加したということです。
セックスは円満な夫婦生活を続けるために必要なものですが、現実的には夫婦がかなりの努力をしないと自然にセックスレスに近づいてしまいます。なぜなら、仕事などのストレスが多くて性欲が衰えがちになり、個人的な遊びで気晴らしができてしまう、住環境が狭くて気兼ねなくセックスができない、対人コミュニケーション能力の低下からセックス自体を面倒に感じる、といったように、現代の生活にはたくさんのセックスレス要因が潜んでいるからです。
「排卵日セックス」がセックスを遠ざけていませんか?
セックスレス夫婦が「赤ちゃんが欲しい」と思うと、「排卵日にだけセックスすればいい」という考え方になりがちです。しかし、この日にしなければという思いがプレッシャーになると、男性は勃起できなくなることも少なくありません。
ストレスがかかるために精子の運動性も悪くなりますし、女性は性交痛を感じやすく、セックスを中断しがちになります。つまり、セックスをただの「子づくりの手段」と考えていると、どうしてもセックスが遠ざかり、自然に妊娠できる確率が低くなってしまうのです。
セックスレス以前に「会話レス」になっていませんか?
セックスレスになる夫婦は、まず会話も少なくなっているケースが多いのです。恋人時代には最近読んだ本の話題や将来の夢など、時を忘れて語り合っていたのに、結婚してからはこうした何気ない会話すらなくなっている夫婦はたくさんいます。うちはよく会話していると思っていても、話の内容を紐解くと、子どものことや仕事の愚痴、生活の内容だけに偏っている場合が多いものです。
自然なセックスの欲求に至るためには、まず夫婦で交わし合う会話の内容を見直す必要があります。
産後セックスレスになっていませんか?
1人目の出産後からセックスレスになる夫婦もたくさんいます。妻は産後の体調が回復しても、子育てに追われて疲れがたまるとセックスを面倒に感じるようになることもありますす。夫はこうした妻の姿を見て遠慮してしまったり、子どもの寝息を気にしてその気になれないことも多いでしょう。
また、生活が子ども中心になっていくにつれ夫婦が共にセクシーな気分を高め合えないという問題もあります。産後のセックスレスから夫婦関係に溝が生じていかないよう、夫婦としての時間を意識して作る必要があります。
(監修/二松まゆみさん)