【医師監修】巨大児になる原因は?巨大児の分娩方法や出産後の成長とリスク

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師松井 潔 先生
小児科 | 神奈川県立こども医療センター 産婦人科

愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等、同総合診療科部長を経て現在、同産婦人科にて非常勤。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。

巨大児イメージ

 

巨大児と診断された赤ちゃんにはどのようなリスクがあるのか、巨大児のリスクをご紹介します。

 

 

巨大児とは?

出生時の体重が4,000g以上の赤ちゃんを「巨大児」と言います。胎児の体重は頭部・腹部・大腿骨の計測値から算出されるため、実際の体重と誤差が300g程度あるとされています。

 

胎内にいる赤ちゃんが、巨大児かどうかの判断は難しいこともあります。エコー検査の赤ちゃんの体重は推定体重なので、巨大児が疑われると言われた場合でも、実際はそうではない場合もあります。

 

 

 

赤ちゃんが巨大児になる原因

赤ちゃんが巨大児になる原因はさまざまなものが考えられます。


・妊娠糖尿病
・妊娠前から糖尿病の持病がある
・過期妊娠
・出産が5回目以上である
・以前に巨大児を出産したことがある
・お母さんが巨大児で生まれた
・妊娠中の母親の体重が増加

・巨大児となる先天的な病気がある   など

 

上記に当てはまるからといって必ず巨大児になるわけではありません。

 

 

 

糖尿病と巨大児の関連

お母さんが糖尿病を抱えていたり、妊娠糖尿病の場合は、巨大児になる確率が上がります。妊娠糖尿病とは、糖尿病の既往がなく、妊娠という体への負担によって起こる糖代謝異常です。母体が高血糖であれば胎児も高血糖になることが合併症と関係します。糖尿病や妊娠糖尿病の場合、下記のようなリスクが考えられます。
 
●母体:妊娠高血圧症候群、羊水過多症、肩甲難産、網膜症、腎症、など


●赤ちゃん:流産、早産、子宮内胎児発育遅延、巨大児、胎児機能不全、子宮内胎児死亡、先天奇形、呼吸窮迫症候群、多血症、高ビリルビン血症、低カルシウム血症、新生児低血糖など
 
妊娠糖尿病や糖尿病を抱えているお母さんは、血糖を適切に保ち、胎児を高血糖にしないようにコントロールすることが大切です。

 

 

 

巨大児の分娩方法は?

巨大児を出産するときの分娩方法は、

 

・誘発分娩

・計画的な帝王切開

・経腟分娩

 

などが挙げられます。

 

お産の途中でも医師の判断で分娩方法を変える(経腟分娩から帝王切開へ変更する)こともあります。分娩方法については、お母さんと胎児の様子を見ながら決まりますので、しっかりと医師と相談しましょう。

 

 

 

巨大児にはどのようなリスクがあるの?

巨大児には分娩の際や出生後に、さまざまなリスクが想定されます。このリスクは、赤ちゃんの体重が大きければ大きいほど高くなるとされています。
 
●巨大児の分娩時のリスク

<お母さん>

・腟内や会陰が裂けることによる大量の出血 など

 

<赤ちゃん>

・肩甲難産による胎児機能不全、腕神経叢麻痺、上腕・鎖骨骨折 など
 
●巨大児の出産後のリスク

<お母さん>

・弛緩出血

・産道損傷 など

 

<赤ちゃん>

・新生児仮死

・低血糖、呼吸障害 など


胎児が高血糖になるとインスリンが分泌され、インスリンが高いと肺の成長が遅れます。このために出生後呼吸障害となることがあります。母子ともに、産院でしっかりとしたケアをおこなってもらうことが大切です。

 

 

 

巨大児で生まれた赤ちゃんの成長

巨大児を出産したお母さんに聞いてみると、「通常の体重で生まれた子と変わらず成長した」という体験談も多くありました。そのほか、「幼稚園のころは背の順で一番前だった」「中学生のころで155cm/45kgというスリム体型だった」「身長だけは高くなったが、体重はそれほど増えなかった」など、いろいろなケースがありますので、巨大児=大きく育つ、とは限らないようです。

 

 

まとめ

巨大児のリスクや予防についてご紹介しました。巨大児の出産はリスクが多くなるので、妊娠中はバランスの取れた食事と適度な運動をして、体重を増やし過ぎないようにしましょう。糖尿病を抱えている場合は、血糖コントロールをおこない、日ごろからの体調管理を気をつけるようにしましょう。

 

 

 

 

 

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