【助産師監修】里帰り出産をするにはどうしたらいい? メリット・デメリットや必要な手続き

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助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

【助産師監修】里帰り出産をするにはどうしたらいい? メリット・デメリットや必要な手続き

 

「里帰り出産」とは、出産前後に実家に帰り、産褥期までを過ごすことを言います。ここでは、里帰り出産のメリット・デメリットや必要な手続き、準備などについて解説します。

 

 

里帰り出産のメリット・デメリット

里帰り出産のメリットは、
・妊婦さんが生まれ育った環境で、安心して妊娠期から産褥期を過ごすことができる。
・育児の先輩である実母が近くにいることで、不安などを相談できる。
・産後、料理や掃除などの家事をサポートしてもらい、赤ちゃんのお世話だけに専念できる。
・産後の身体の回復に必要な期間、身体を休めることができる。
などが挙げられます。

 

一方、里帰り出産のデメリットは、
・健診を受ける産院が変わるため、一貫した健康管理や指導を受けにくい。
・妊娠後期、産褥早期の移動により、母子に負担がかかる可能性がある。
・夫、子どもと離れて過ごすことから、新しい家族としての機能が早期に確立しにくい。 
・母親が自宅に戻ってからの生活に適応しにくい。
などが挙げられます。

 

 

里帰り出産をするにはどうしたらいい?

里帰り先の産院の分娩予約は、妊娠がわかり母子健康手帳をもらった妊娠5~6週(妊娠2カ月ごろ)から受け付け可能な場合が多いです。里帰り先の産院が決まったら、一度電話で、受診のタイミングや時期などを確認しましょう。

 

里帰り出産には、現時点で通っている産院からの紹介状(診療情報提供書)が必要です。現在かかっている産院にも里帰り出産を希望していることを伝え、紹介状の準備をしてもらいましょう。紹介状を発行する際は、別途料金がかかります。紹介状がないと必ずしも診察を受けられないわけではありませんが、大学病院などの「特定機能病院」と、病床数500以上の「地域医療支援病院」では、選定療養費として初診時5,000円(歯科は3,000円)以上、再診時2,500円(歯科は1,500円)以上の特別料金を、診察料とは別に支払うことが義務付けられました。なかには大病院以外でも料金が発生する場合があるので、受診前にホームページなどで確認しておくとよいでしょう。


また、里帰り先が現在住んでいる自治体と異なる場合、「妊婦健康診査受診票」が基本的に使用できなくなることがほとんどです。しかし、各市区町村と提携している産院では有効だったり、健診時の領収書や未使用の妊婦健康診査受診票など必要書類を提出することで一部返金してくれる自治体もありますので、事前に確認しておきましょう。
 

 

 

いつまでに里帰りすればいい?

里帰り出産の際、いつまでに里帰りしなければならないという決まりはありませんが、出産予定日近くは避けましょう。なるべく余裕を持って里帰りされることをおすすめします。産院によっては、妊娠◯週までに里帰りをしてくださいと指示されることがあるので、確認しておくとよいでしょう。

 

移動の際は、なるべく妊婦さんの身体に負担のかからない帰省方法をとることをおすすめします。移動が長時間になる場合は、同じ姿勢が続かないように注意しましょう。特に、座りっぱなしは、旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)を引き起こすリスクが高まりますので、適度な水分補給と足のマッサージを心がけましょう。飛行機での移動を予定している場合、出産予定日28日以内の搭乗は診断書の提出が必要になりますし、出産予定日7日以内の搭乗は診断書と医師の同伴が必要になります。事前に航空会社に確認しておきましょう。

 

里帰り出産を希望していても、切迫早産などで自宅安静・入院となると里帰り出産が難しくなります。定期健診をしてもらっている産院に、里帰り出産の可否と可能であればいつごろ里帰りすれば良いのか確認しましょう。


 

 

里帰り出産する前に準備しておきたい書類

出産後、赤ちゃんに関するさまざまな手続きが必要となります。夫の会社に書類を提出し、記入してもらうものもありますので、里帰り前に必要な書類など用意しておきましょう。

 

・出生届
出生届は、赤ちゃんが生まれてまず必要な書類です。出生日から14日以内に、届出人の所在地、子どもの出生地、父・母の本籍地いずれかの市区町村役所・役場に提出してください。 産院で用意してくれる場合もあるので事前に確認しておきましょう。

 

・児童手当
児童手当は、児童を育てる保護者に対して、主に行政から支給される手当のことを言います。赤ちゃんの出生から15日以内に、住民票のある市区町村役所・役場に提出してください。児童手当は、それぞれ前月の分までをまとめた金額が2月、6月、10月の年3回にわけて支給されます。

 

・乳幼児医療費助成金
乳幼児医療費助成金とは、乳幼児が医療機関で診察、治療を受けた際に、その費用の一部または全額を自治体が助成してくれる制度です。住民票のある市区町村役所・役場に提出してください。期限は、出生日から1カ月以内のところや、6カ月以内など市区町村によって異なるので前もって調べておくとよいでしょう。

 

・健康保険加入
赤ちゃんも、生まれてからすぐに両親どちらかの扶養として健康保険に加入する必要があります。原則1カ月健診までに、勤務先の窓口に提出してください。国民健康保険の場合は、出生日から14日以内に、住民票のある市区町村役所・役場に提出してください。

 

その他、必要に応じて提出する書類も調べておきましょう。
・育児休業給付金(働いているママ)
・出産手当金(働いているママ)
・医療費控除
・医療保険
・高度医療費    

   

上記以外にも自分にどの書類が必要なのか事前に調べ、産前に準備できるものはしておくとよいでしょう。  
 

 

 

里帰り出産の際のお礼は必要?

里帰り出産となると、産前約1カ月前~産後1カ月ごろまでお世話になるというケースが多いようですが、状況によってはもっと長く実家にお世話になることもあります。その際、実家へのお礼はどうすればよいのでしょうか。

 

お礼のかたちとしては、直接現金を渡すか商品券で渡すかのどちらかが多いです。しかし実際のところは、お礼を渡そうとしたが、「帰ってきてくれることがうれしい」「孫を近くで見れることがうれしい」と言うことでお礼を受け取ってもらえなかったということもあるようで、さまざまです。

 

一般的には、現金で渡す際は光熱費や食事代などの生活に関わるお金として、1カ月2万円~3万円程度(上のお子さんも一緒にお世話になる場合はプラス5,000円程度)を考えるとよいでしょう。

 

お礼を渡すタイミングに、特に決まりというものはありません。里帰りをしたはじめの時期か、自宅に戻る際のどちらかがよいと思いますが、感謝の気持ち、お礼の気持ちを伝えることがなにより大切です。  
 

 

 

まとめ

里帰り出産は、妊婦さんが生まれ育った環境で、安心して妊娠期から産褥期を過ごすことができるなどのメリットがある一方で、一貫した健康管理や指導を受けにくいなどのデメリットもあります。里帰り出産を希望される場合は、余裕をもって準備しましょう。

 

 

 

 

 

◆出産に関するQ&A

 

 

◆里帰り出産の体験談

初めての妊娠で、陣痛が来たときひとりでは心細い、出産してからの育児も不安……という気持ちから、車で3時間かかる実家に里帰りしました。病院の指示で出産予定日の約2カ月前に帰省し、実家では掃除や料理の手伝い、散歩、買い物などをしつつ毎日過ごしていました。

 

実家を出て10年以上経っていたので、里帰り中に両親とたくさん一緒に過ごせたのは、親孝行にもなったかなぁと思います。夫は出産予定日の2週間前に一度会いに来てくれ、きっと次に会うときは出産のときだねぇ~、出産に立ち会えるといいね~と話しながら、その日は皆で外食に行きました。

 

久々の夫との再会に箸も進み、おなかいっぱい。楽しく食事をして夫を駅まで送り、家に帰って玄関のドアを開けたそのとき、なんだか下腹部に違和感があり、トイレへ。なんと破水していました。

 

急いで病院に連絡して入院準備。電車に乗って途中まで帰っていた夫も呼び戻して、病院に来てもらうことに。そして破水してから4時間後に、無事に男の子を出産しました。出産には母と夫が立ち会ってくれ、とても心強かったです。出産後は1カ月半ほど実家で過ごしました。父と母が育児に協力してくれ、私も実家でゆっくりと体を休めることができました。

yucco さん

出産予定日1週間前に、電車で1時間ぐらいの実家に里帰りしました。1カ月前に帰る予定が、遠方の祖父母の不幸が重なり、直前になってしまいました。いつでも人がいるので、出産まで安心して過ごしました。

 

産後は、実母の育児経験に期待していたのですが、新米ママの私よりオロオロするだけで育児はまったくしてもらえない上、「駄目な母親ね」と毎日責められてつらい思いもしました。産後の不安もあったのかもしれませんが、実の親子なのでお互い言うことに遠慮がなく、非常に傷つく思いもしていました。

 

しかし、子どもが2カ月間ほぼ24時間抱っこしてかつ歩いていないと泣き続ける状態だったので、実母に家事をしてもらわなければ、生活が破綻していたのではと思います。また、会話をする相手がいつもそばにいたのがよかったと思います。生活の自信がつくまで2カ月間、甘えさせてもらいました。

佐野夕日 さん

1人目は、1カ月半ほどゆっくり里帰りさせてもらいました。2人目は上の子を連れての里帰り出産で、1人目のときよりゆっくりできず。3人目は里帰りしませんでした。上の子がいると、里帰りするより自宅に帰ったほうがいろいろな面で楽だったりします。もちろん無理は禁物ですが、こうやってどんどんたくましくなっていくんでしょうね。母は強し! ですね。

あっちママ さん

初産の際は、はじめから実家近くの病院を選んでいたので、退院後から実家に1ヵ月半ほどお世話になりました。授乳以外はほとんど子どもと一緒に横になっていて、のんびに休息させていただきました。2人目の時は自宅に戻り、両親が通ってきて世話をしてくれるという形をとりましたが、やはり上の子の相手や世話で動くことが多く、産後の体調回復は1人目の時のほうが早かったように思います。

ゆうこ さん

妊娠8カ月で里帰りをしました。出産は初めてだったので、夫と離れて生活して実家でゆっくりしようと考えました。私の場合、なかなか体が戻りませんでしたし、精神的にもなんだか落ち着かなかったので、戻ってよかったです。また、赤ちゃんのお世話もいろいろ母に教えてもらえたのでよかったです。

そばかす さん

 

その他の体験談

 

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