【助産師監修】産褥(さんじょく)体操の目的・効果は?いつから?体操方法をイラストで解説

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助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

【助産師監修】産褥(さんじょく)体操の目的・効果は?いつから?体操方法をイラストで解説

 

分娩後6~8週ぐらいまでを産褥期といい、出産を終えたママの体が徐々に妊娠前の体に戻っていく時期です。産後は休息と活動のバランスをとることが大切です。過度な安静は、ママの体の回復に影響を及ぼすので、適度な運動が必要になります。産褥期におこなう適度な運動に「産褥体操」があります。それでは産褥体操について、詳しくお話ししていくことにしましょう。

 

 

産褥体操とは?

産褥体操は、産後におこなう軽い体操のことです。産後のママの体にあまり負担がかからないような、寝た状態でも可能な運動が多く、回数もさほど多くはありません。

 

産褥体操には以下の目的があります。
1)悪露の排出を促し、子宮収縮を促す
2)妊娠・出産による腹壁および骨盤底筋群の回復を促す
3)出産後の疲労を回復し、心身のリラクゼーションをはかる
4)血液の循環を促し、静脈瘤や血栓の形成を予防する
5)母乳の分泌を促す

 

 

 

 産褥体操を始めるのはいつから?

産褥体操を始めるにあたって、まずは、ご自分の体調を優先することが必要です。体調や気分が優れないときにまでおこなう必要はありません。

 

普通分娩の場合、産後2時間は出血が多くなったり、状態が変化しやすいので安静が必要ですが、それ以降であれば産褥体操をおこなっても構いません。帝王切開の場合は、術後、歩行を開始してからごく軽い運動が可能になります。

 

会陰を縫合していたり、帝王切開の場合には、傷に負担がかかるような運動は、傷が癒合してからおこなうようにしましょう。最初は軽い内容の運動から始め、徐々に運動の内容を組み合わせたり、回数を増やしたりしていきましょう。
 

 

 

 

産褥体操の方法(イラスト)

それではどのような運動があるのか、紹介していきたいと思います。1つの運動を5~6回、慣れてきたら、いくつかの運動を組み合わせておこなってみましょう。

 

産後1日目からおこなえる運動

ベッド上でおこなえるかんたんな運動です。帝王切開後のママもおこなえます。

 

1)胸式呼吸
両ひざを立てて、あおむけになります。胸郭を広げるイメージで、鼻から深く息を吸い込み、3~5秒かけてゆっくり息を吐きだします。

産褥体操 胸式呼吸イメージ

 

2)腹式呼吸
両ひざを立てて、あおむけになります。おなかを膨らませるイメージで、鼻から深く息を吸い込み、3~5秒かけてゆっくり息を吐きだします。

産褥体操 腹式呼吸イメージ

 

3)足先の運動
 あおむけになります。足首を曲げて、ふくらはぎをのばします。その次につま先を下向きにしてのばします。これを数回繰り返します。
足首の運動は、座った状態でもおこなえます。その際は、足を組み、動かす足をリラックスさせた状態でおこないましょう。

産褥体操 足先の運動イメージ

 

産後2日目からおこなえる運動

帝王切開の場合は術後8日目以降からおこなえます。

 

1)頭を起こす運動
膝を立ててあおむけになり、腕は両脇に伸ばします。深く息を吸い込み、息を吐きながら頭をゆっくり持ち上げます。頭を持ち上げたまま、数秒維持し、その後頭を下げ、リラックスします。

産褥体操 頭を起こす運動イメージ

 

2)肛門の引締め運動
膝を立ててあおむけになり、腕は両脇に伸ばします。おしりの筋肉と肛門を引き締めたり、ゆるめたりを繰り返しおこないます。尿漏れにも効果があります。

産褥体操 肛門の引締め運動イメージ

 

産後4日目ころからおこなえる運動

1)腰を浮かせる運動
あおむけになり、膝を立てます。両腕を頭の後ろで組んだ状態で、腰を浮かせます。

産褥体操 腰を浮かせる運動イメージ

 

2)足を上げる運動
あおむけになり、ひざを立てます。ひざを曲げた状態で、左右の足を交互に持ち上げます。

産褥体操 足を上げる運動イメージ

 

産後1カ月ころからおこなえる運動

1)前かがみ
足を肩幅程度に開いて立ち、膝を伸ばしたまま前屈します。

産褥体操 前かがみイメージ

 

2)つま先立ち
足を肩幅程度に開いて立ち、つま先で立ちます。

産褥体操 つま先立ちイメージ

 

3)姿勢をよくする運動
足を肩幅程度に開いて立ち、左手は腰に、右手は前に伸ばします。手を伸ばしたまま、左側後方を見るようにして、体をひねります。逆側も同様におこないます。

産褥体操 姿勢をよくする運動イメージ

 

4)自転車乗り運動

あおむけになり、膝を立てます。ひざを曲げた状態で、自転車をこぐように動かします。

産褥体操 自転車乗り運動イメージ

 

5)自分で起き上がる運動(腹筋)

産褥体操 自分で起き上がる運動(腹筋)イメージ

 

6)腰をひねる運動
膝を立ててあおむけになります。肩と足の裏はベッドにつけたままで、両膝をゆっくり左に倒します。両膝をもとの位置に戻し、右に倒し、元の位置に戻します。

産褥体操 腰をひねる運動イメージ

 

 

 

 

まとめ

産褥体操をおこなうことで、産褥期の回復を促す効果が期待できます。しかし、このような運動をおこなうかどうかは、ママの自主性にゆだねられている部分が多いです。ご自分の体調と相談しながら、産褥体操が継続できるような工夫ができるとよいですね。

 

 

 

 

 

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◆産褥期・産後の体調に関連するQ&A 

Q.産後の体調が不安定で発熱を繰り返しています

 

 

◆産後の体調の体験談

4人目妊娠中です。1人目は5月生まれ。若かったせいもあり、そして赤ちゃんがビックリするくらい良く寝てくれたのでホントに体調がよかったです。2人目は6月生まれ、周りに頼って産後3週間大事にしていました。おっぱいは大変でしたが、体調良好。3人目は2月生まれ。ホントに雪の多い寒い冬でした。シャワー浴がキツかったです。産後一年間、体が冷えていた気がしました。産後すぐに2人目の子の卒園、入学があっていろいろ動いたのでめまいがしました。

 

産後はやはり3週間、しっかりと体を休めたほうがいいです。動けてしまうので、動いてしまいますが。4人目は夏に出産予定です。できるだけ無理して動かないように、ゆっくり体を休ませたいです。これからの家族のため、元気なお母さんでいるために産後は休ませてもらいます。

あけちママ さん

1人目の出産のときは、産後の体調もそれほど悪くなかったのですが、2人目出産後は、まず後陣痛がひどく、しばらくは歩くのもやっとでした。年齢を重ねたこともあるんだとは思いますが、1人目出産後に比べて、2人目のときは回復にも時間がかかったように思います。また、赤ちゃんのお世話だけでよかった1人目出産時に比べて、上の子の面倒も見ないといけないという点も大きかったと思います。

あっちママ さん

 

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