【助産師監修】安定期はいつから? 安定期の症状や快適に過ごすために注意すべきこと

この記事の監修者
監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

安定期イメージ

 

安定期は流産のリスクが少なくなり、つわりも落ち着き活動がしやすく、妊娠期を楽しむのに適した時期といえます。しかし、医学的には「安定期」という時期はなく、安定期と言われている時期も妊娠中のため、トラブルが生じる可能性があります。今回は、安定期と言われる時期はいつなのか、過ごし方や注意すべきことを解説します。

 

 

「安定期」とはどういう時期? いつからが安定期?

「安定期」とは一般的に妊娠中期(妊娠5~7カ月)のころ、週数でいうと妊娠16~27週あたりの時期を指します。妊娠16週以降を「安定期」と呼ぶのは、胎盤が妊娠15週ごろに完成することと関係しています。

 

胎盤の完成によって流産の可能性が低くなり、ママの体もホルモンバランスが安定するため、つわりも落ち着くのが一般的です。つわりの終了時期には個人差がありますが、妊娠16週ごろまでに治まる人が多いとされています。

 

また、妊娠18~22週以降には胎動を感じるようになるので、安定期は家族が増える喜びや母親になる実感などが湧き、精神的にも安定する時期といえるでしょう。そのため、つわりに悩まされた妊娠初期と比較して安定期は過ごしやすく、妊娠期を楽しむ余裕も出てきます。

 

 

 

安定期の過ごし方は? 仕事や旅行には行ける?

安定期に入り、ママを悩ませた吐き気などの不定愁訴がなくなり、流産の心配も少なくなるので、それまでできなかったことができるようになるでしょう。

 

ただし、安定期といっても妊娠中のママの身体はとてもデリケート。予定の詰め込み過ぎや体調不良を感じても頑張ってしまうと思わぬ症状につながることがあります。無理をせず、体調に合わせた生活を送りましょう。

 

安定期に起こりうる諸症状

●つわりの再来
一度つわりが治まって食欲が出ても、つわりが再来することがあります。つわりの治まる時期や症状の程度は人によってさまざまで、なかには「妊娠中期から出産の直前までつわりが続いた」というママもいます。

 

●流産のリスク
流産のおよそ8割は妊娠12週未満の早い時期に起きています。しかし、妊娠12週以降も確率としては低くなりますが、流産のリスクがあるので注意しましょう。

 

●早産のリスク
安定期は流産の予防だけでなく、早産を防ぐことも重要です。早産は妊娠22週から37週未満の出産をいい、妊娠22週未満の場合を流産と呼んで区別しています。

 

妊娠22週は赤ちゃんが子宮の外で生きていけるかどうかの目安となる時期です。日本の周産期医療は進歩し、妊娠中期に生まれた赤ちゃんも育つようになりました。しかし、早産で生まれた赤ちゃんは妊娠週数が早いほど合併症のリスクが高くなるので生存できる可能性が低く、生存できたとしても重篤な後遺症が残る率が高いと言われています。そのため、規則的なおなかの張りや性器出血など切迫早産の兆候が現れたときは病院で診てもらいましょう。

 

●妊娠高血圧症候群のリスク
妊娠20週以降から分娩後12週までの間に高血圧、あるいは高血圧に蛋白尿がみられる場合、「妊娠高血圧症候群」と診断されます。

 

妊娠高血圧症候群は悪化すると子癇(しかん)というけいれん発作が起こったり、脳出血や腎機能障害などの深刻な合併症につながったり、生命の危険もある病気です。また、おなかの赤ちゃんへの影響としては発育の遅れや状態の悪化、さらに、出産前に胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離の可能性や赤ちゃんが亡くなる危険性もあります。

 

肥満になると、妊娠高血圧症候群の発症リスクが高くなるので妊娠中の体重増加には十分注意しましょう。ほかに、40歳以上の高齢出産や多胎妊娠なども妊娠高血圧症候群の発症のリスクを高めると言われています。

 

 

安定期(妊娠中期以降)に注意したい症状

安定期に入ったとはいえ、次のような症状が現れたら、注意が必要です。
・おなかの張り
・下腹部の痛み
・性器出血
・破水

 

おなかの張りや下腹部痛が横になっても治まらない、あるいはおなかの張りが規則的になった、痛みが徐々に強くなったなど、いつもと違うと感じたら病院に連絡しましょう。

 

また、陣痛が始まる前に破水が起こると(前期破水)、妊娠中期であっても陣痛が始まる可能性があり、感染のリスクも高くなります。お風呂やシャワーには入らず、清潔なナプキンを当ててすみやかに病院を受診し、適切な処置を受けてください。受診の必要性について迷ったときは、独りで悩まず病院に連絡し、受診をすすめられたときは落ち着いて行動しましょう。

 

安定期にできること・避けたほうがよいこと

ここでは、安定期にできること、また、日常生活で注意してほしいポイントを説明します。

 

●買い物
妊婦健診で「自宅で安静に」などの指示が出ていなければ、近所のお店に食材や日用品などを買いに出かけましょう。自分で食材を選び、つわり中にできなかった料理に取り組むのも楽しいでしょう。ただし、重い荷物を持つとおなかが張りやすくなるので控えてください。もし、外出中におなかの張りが気になったら、座れるところを探して少し休みましょう。

 

また、安定期はおなかがふっくらとしてくる時期です。気分がよい日はマタニティ服を買いに行くのもよいでしょう。この時期にから、出産グッズや育児グッズの購入を始めると、妊娠後期にゆとりができるでしょう。

 

●仕事
妊娠初期に思うように仕事ができなかったママにとって、安定期は動けることが心地よく感じられるでしょう。そのため、「溜まった仕事を片付けなければ!」と、つい頑張り過ぎてしまうかもしれません。

 

しかし、安定期も仕事のスケジュールを詰め過ぎないこと、基本的に無理をしないことが大切です。妊娠中は周囲の人に協力をしてもらいながら、あくまで体調優先で取り組みましょう。

 

●運動
妊婦健診で問題が指摘されていなければ、適度に体を動かす習慣を身につけましょう。妊娠中の運動としては激しい運動ではなく、軽度の有酸素運動がおすすめです。適度な運動はストレスの解消や分娩に向けた体力づくりにつながるので、調子のよいときはウォーキングやマタニティヨガなどに取り組むとよいでしょう。

 

ウォーキングは自分のペースで手軽におこなうことができ、マタニティヨガなどのスクールに通うと同じ時期に出産をするママ友をつくるうえでも役立ちます。もし、妊娠前に経験したことがないスポーツを始めるなど、慣れない運動をするときは主治医の許可をもらってから始めましょう。

 

また、運動のし過ぎにも注意し、運動後は休息の時間をとることも忘れずに。特に、何事もキッチリやるタイプの人は、体調が気になるときは「途中でやめる」「運動しない日があってもいい」など、体調に合わせた柔軟な方法を取り入れましょう。

 

●旅行
旅行など、長時間の移動を予定している人は必ず主治医に相談し、ゆとりのあるスケジュールにするとよいでしょう。出かける際は、必ず母子健康手帳や健康保険証、病院の受診カードを携帯するようにしましょう。

 

観光目的の旅行の計画は慎重に。観光地は近くに病院がない場合もあり、さらに、海外の場合は言葉の壁もあります。主治医に相談したうえで慎重に検討し、「体調次第で中止もありうる」といった柔軟な気持ちでプランを立てましょう。

 

なお、最近では赤ちゃん連れで宿泊できるホテルなども増えており、さまざまな旅行プランが登場しています。「旅行は安定期のうちに!」と焦って無理な計画を立てるより、発想を変えて産後に家族旅行を楽しむ方法もあります。
 

 

 

 

安定期の食事で注意すること

安定期は、つわり症状が落ち着くので食欲が出てくる時期です。おいしく食べられるのはうれしいことですが、「つい食べ過ぎてしまう」といった悩みを持つ方も少なくありません。体重増加により妊娠高血圧症候群などの合併症を引き起こしたり、出産の際のトラブルにもつながる恐れもあるので、体重管理には十分注意しましょう。

 

反対に、妊娠中に栄養不足で痩せてしまった、極端な偏食で栄養が偏ってしまったというママもいます。ママが栄養不足の状態になると赤ちゃんに十分な栄養を送ることができず、胎児発育不全に陥る可能性があります。ママの体重が極端に増えたり減ったりしないように、日頃からバランスのよい食事を心がけましょう。

 

妊娠中に適した食事

●妊娠中は自炊がおすすめ

忙しいときの食事は丼ものやパスタなど一品料理が多くなり、栄養が偏りがちです。食事の支度に長時間を費やすのはおすすめできませんが、朝食と夕食はできるだけ自炊を心がけ、栄養のある献立を考えましょう。

●複数のメニューを組み合わせた献立を
厚生労働省が定める「妊産婦のための食生活指針」によると、妊娠中は主食・主菜・副菜を組み合わせた献立が推奨されています。米などの主食でエネルギーを、肉や魚などの主菜でタンパク質を摂取しましょう。そして副菜も重要です。サラダやおひたしなどを添えてビタミンやミネラルを摂りましょう。

 

●安定期(妊娠中期以降)に積極的に取り入れたいメニュー
安定期(妊娠中期以降)は妊娠前よりも、副菜・主菜・果物を多めに摂るのが望ましいとされています。といっても、極端に多くの量を摂る必要はありません。

 

副菜なら野菜をたっぷり入れた味噌汁1杯、主菜なら目玉焼き1皿程度の量を追加すればよいとされています。果物はみかんなら1個、りんごなら半分が目安です。量よりも「食材の種類を増やすこと」を意識しましょう。なお、主食は妊娠前と同等でよいとされています。
 

 

 

 

まとめ

安定期に入ると、妊娠初期に比べて流産の心配が少なくなり、ママの体調もよくなるので少しホッとできるでしょう。安定期も妊娠初期と同様に無理をしないように気をつけて、適度な運動や出産準備などに取り組み、妊娠期を主体的に過ごしましょう。

 

参考:
・厚生労働省:妊産婦のための食生活指針
・メディックメディア:病気が見える vol.10産科,第3版

 

 

 

◆安定期・妊娠中期に関連するQ&A

 

 

◆妊娠中の運動に関連する体験談

臨月まで介護の仕事をしていたので仕事が運動のようなものでした。職場の方たちに「こんなに動いてれば安産よ~」と言われていました。産休に入ってからは夫の仕事を見送ったあと、夏場だったので涼しい朝に30分程度散歩を数回したかな?

たいがママ  さん

今、2人目妊娠中です! 1人目妊娠中のとき、安定期に入ったころから、安産のためにも、夫さんと毎日1時間くらいのウォーキングが日課になっていました! 同じ所をぐるぐる歩くのは飽きてしまうので、コースを決めて道を歩きました! おしゃべりしながら、とっても楽しかったです! 病院のマタニティービクスも通いましたが、凄いハードで、それがまたストレス発散になって楽しかったです! 赤ちゃんが4kgを超えると言われ、出産予定日を超えても生まれなくて、恐怖で、泣ながら歩いたのが懐かしいです! 今回は上の子もいるので、あの楽しかったウォーキングやマタニティビクスできないのが残念ですが、体調が良ければ、ぜひおすすめです。

あやち   さん

みんな結構運動やってらっしゃるんですね! 確かに、時々散歩中の妊婦さんを見かけることがあります! 私は家事と、テレビを見て横に寝転びながら足を伸ばして太ももを上下させる運動くらいです。あと、あぐらをかくと骨盤の開きがよくなり出産に効果的と聞いたので、普段からあぐら股割り生活をしていました。

ぽぽ さん

もともと運動が好きなほうではなく、運動する習慣がなかったので、散歩する程度の運動しかしませんでした。真夏の出産予定だったので、散歩するにも夕方6時前後の涼しい時間帯になってから出かけるようにしていました。臨月近くなると、毎日頑張って散歩を続けていたのですが、なかなか生まれず、結局出産予定日を1週間過ぎて生まれました。

あっちママさん

妊娠7カ月まで仕事をしていました。通勤は片道20~30分の自転車、仕事も事務職でしたが他部署へのお使いが多く、階段の上り下りなどよく歩き回っていました。退職後は妊娠8カ月くらいから臨月近くまで逆子だったため、あまり動きすぎないよう病院で言われていたので普通に家事をしたり、普段の買い物は荷物が重くなければ徒歩で、重い時は自転車で行くくらいでした。それでも体重は目標9kg以内だったのが8kg増で済み、出産予定日の1カ月近く前になって逆子も直り、40歳の初産でしたが自然分娩で約7時間での安産でした。

きょん×2さん

妊娠中は仕事をしていたので、結構、毎日立ちっぱなしでヘトヘトでした。臨月のときは、おなかが重いけれど散歩を頑張って毎日していました。でもこれだけ動き回っていたのに、赤ちゃんが生まれるのにすごく時間がかかりました。散歩は気分転換にもなるので、よかったかなと思います。

そばかす さん

臨月まで仕事をしていたので、通勤途中のウォーキング、駅から自宅まで徒歩で帰宅したりと、毎日合計1時間は歩いていたように思います。退職してからは出産日当日まで、夫と駅まで歩き、見送ってから河原を散歩したりと、とにかく歩きまくっていました。

ゆうこ さん

夫と2人で毎晩1時間程度ウォーキングしていました。目的は体重管理と体力作り。モチベーション維持のため、歩いた距離と時間を記録付けていたので、長続きしました。安定期から臨月までで歩いた距離は500km以上! 体重はプラス6kgの体重管理大成功。思えば夫と2人きりの時間だったので育児中の今、とっても良い思い出になりました。

Ratty さん

泳ぐのが不得意ですが、妊娠7カ月目ごろからマタニティ水泳に通いました。水の中だとうつ伏せになれるので、浮くだけでもすごく気分がよかったです。水泳中、赤ちゃんが元気に動くのがわかりました。気分転換にはすごくいいと思います! 終わる15分前にフロートを使い、ぷかぷか浮く時間があるんですが、おなかを上にしてぷかぷかリラックスできました! 足のむくみも解消されていい運動だと思います!!!

base さん

アメリカに住んでいますが、こちらでは妊娠しても妊娠前と変わらない生活をするのが当たり前。妊娠初期から変わらずに毎日のようにテニスをしていました。試合も妊娠7カ月くらいまで出ていました。 妊婦姿の私をみて「テニスをやって大丈夫なの?」と聞かれたことは一度もありません。好きなことをやってストレスもなく、元気な息子を産みました。

lilsproutさん

妊娠中、マタニティスイミングに通いました。思った以上にハードだったんですが、おなかが大きいせいなのか? 意外と泳ぎやすかったです。レッスン中にいきみの練習をしてくれて、息継ぎのやり方など教えてくれたんですが、出産のときに「あ、これか」と思いました。もし今後2人目ができたときもマタニティスイミングやりたいな。

マママンマンさん

 

その他の体験談

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