【医師監修】早産とは? 原因や症状、予防方法について

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師天神尚子 先生
産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長

日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

早産イメージ

 

妊娠22週0日から妊娠36週6日の期間に出産すると「早産」と呼ばれます。今回は、早産の原因と症状、早産で生まれた赤ちゃんの障害の有無や早産の予防方法について解説します。

 

 

早産とは?

妊娠37週0日~41週6日までの期間に出産することを「正期産」と言います。それ以前の時期に出産することを早産と言いますが、妊娠22週未満は赤ちゃんが生まれたとしても生存が不可能な期間とされており、早産ではなく流産となります。

 

●「切迫早産」は早産の一歩手前の状態

早産になる危険が高い状態が「切迫早産」です。切迫早産と診断された場合、安静が必要となります。症状の程度によっては、子宮の収縮を抑制する薬の内服や入院して点滴をおこない、できるかぎり早産を起こさないようにします。次のような自覚症状があれば、すみやかに受診しましょう。

 

<切迫早産の自覚症状>
・下腹部の痛みがある
・おなかの張りが頻繁に起こる
・性器からの出血がある
・破水した

 

●早産には「自然早産」と「人工早産」がある

早産の75%が、細菌感染や頸管無力症といった病気や、喫煙、ストレスなどにより妊娠の継続が難しくなり自然分娩に至る「自然早産」で、25%は「人工早産」です。(※1)

 

人工早産は、母親や胎児に合併症がみられるケースに対し、母児の命を守るために人為的に出産させる方法で、母体合併症の悪化や子宮の壁から胎盤がはがれる「常位胎盤早期剝離(じょういたいばんそうきはくり)」、赤ちゃんが生まれてくる子宮口を胎盤がふさいでしまう「前置胎盤」、子宮内の胎児の元気がなくなってきている状態の「胎児機能不全」といった状態がみられるときに人工早産がおこなわれます。

 

●早産の原因

早産の原因はさまざまあり、細菌感染や頸管無力症、妊娠高血圧症候群等の合併症や喫煙、ストレスなどが主な原因と考えられています。そのほかに明確な関連性は認められてはいませんが、歯周病も早産の原因と考えられています。

 

 

早産児は合併症を起こしやすい

早産では分娩に至った週数が早いほどさまざまな合併症を起こす可能性が高くなり、赤ちゃんの生存率に大きく影響します。

 

早産児は発育が不十分な状態で生まれてくるため、呼吸障害や低体温、低血糖、感染症を起こしやすくなります。そのためNICUでの入院・治療が必要になる場合が多いです。また、脳性麻痺や知的障害、視覚障害などの合併症も起こしやすくなります。

 

 

早産の割合は出生数に関係なく増えている?

女性の社会進出、晩婚化などの影響で、日本の出生数は減少し、近年は横ばい状態になっています。出生数が減少しているなか、早産時の出生は増加傾向にありましたが、こちらも近年では横ばい状態にあります。(※1)


●早産の4つの要因
・晩婚化が進み、合併症のリスクが高い高齢出産が増加している

・生殖補助医療による多胎妊娠が増加している
・性行動の若年化にともなって細菌性腟症や性感染症が増加している

・女性のライフスタイルの乱れ(妊娠中の喫煙や無理なダイエットによるやせ体型など)

 

 

まとめ

早産の予防で最も大切なのは、無理のない生活を心がけることです。ただ、どれだけ気をつけて生活していても切迫早産や早産になる可能性はあります。切迫早産の場合、陣痛のような子宮の収縮や下腹痛など、さまざまなサインで異常を知らせてくれることもあるため、何かあればかかりつけ医に相談し、受診するようにしましょう。また、自分や赤ちゃんを守るためにも、早産の早期発見につながる妊婦健診をきちんと受診することも大切です。

 

参考:

※1 人口動態統計 - 厚生労働省

 

 

 

 

 

 

◆分娩に関するQ&A

 

 

◆切迫早産の体験談

仕事をギリギリまでしていたり、夫が長期加療の必要な病気で休職をしたりと、諸々のストレスからか妊娠7カ月ごろから切迫早産気味であると産科医から言われていました。妊娠28週ごろからは張り止めの薬が処方されましたが、「おなかの張り」というのがイマイチわからずにいました。

 

そして妊娠30週、金銭的な問題から急きょ私の実家へ夫婦で引越したものの、ストレス性の胃炎に加え子宮頸管が更に短くなってしまい、妊娠32週で入院。夫が心配なので無理を言って退院しましたが、妊娠35週0日目の朝、突然の破水。そのまま入院となり、翌日出産しました。
 

妊娠したからと言って生活や性格はなかなか変えられないので、日頃から無理をしない・頑張りすぎない・抱え込まないクセを付けておかないとこうなるんだなーとようやく自覚しました。

零 さん

1人目のときは妊娠31週目から切迫早産で入院しました。初めてのことで、おなかの張りはわかりませんでした。

 

2人目のときは、1人目の経験から早い段階から張り止めの薬を飲みましたが……妊娠28週から入院しました。上の子が心配で毎日つらかったです。2カ月も子どもと離れて暮らしましたが、2人目も無事生まれて来てくれたのでよかったです。

 

今は3人目妊娠中です。まだ妊娠26週ですが、絶対安静の自宅で過ごしいてます。たぶん、入院になると思います。子どもたちと毎日会えなくなると思うとつらいですが、おなかの中の赤ちゃんも無事生まれて来てほしいので頑張ります。

キティー さん

妊娠30週で健診を受けたときに頸管が12mmになっていたため、即総合病院に行き、その日に入院になりました。2人目ということもあり、家事に育児に忙しく、大分早い段階からおなかの張りがありましたが、気にせずに上の子をおんぶしながら買い物などしていました。入院中はウテメリンを24時間点滴、妊娠34週にはおなかの張りがおさまらず、マグセントと併用で点滴していました。副作用で吐き気と震え、上の子に会えない寂しさで情緒不安定になりましたが、妊娠37週には帝王切開で出産しました。3,500gの元気な男の子ですが、点滴の影響で低血糖のためNICUに入院しました。今は1才になり、元気です。 妊娠中期から頻繁に張りがあったら絶対安静です!! 無理しないのが一番!

ちるちゃん さん

 

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