【助産師監修】妊娠悪阻(にんしんおそ)とは? 原因、症状、治療方法について

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妊娠の初期症状と言うと「つわり」を思い浮かべる方も多いかと思います。実際、多くの妊婦さんがつわりを経験しています。「妊娠悪阻(にんしんおそ)」は、つわりが重症化した状態を言います。今回は、妊娠悪阻についてくわしく解説します。

 

 

妊娠悪阻の症状とは? つわりとは何が違う?

妊娠悪阻では、食べ物を摂取できなくなることで糖質が不足し、有害物質であるケトン体が増加します。そのほか、ビタミンB1、ビタミンKが不足するなど、通常のつわりと比べると重い症状が出るのが特徴です。

 

つわりと妊娠悪阻には明確な境界がないものの、診断の目安として次のような点が挙げられます。


●つわり
・気持ち悪い、だ液が増える、頭痛、眠気、食欲がない
・妊娠15~16週ごろには、おさまることが多い
・全妊娠の50~80%にみられ、初産婦に多い
・早朝のおなかがすいているときに症状が強い

 

●妊娠悪阻
・一日に何度も吐き、食事が摂れない
・水分も摂れない
・尿検査でケトン体が陽性を示している
・体重の5%または週に1~2㎏減る
・立っているとふらふらしてしまい、ずっと横になっていることが多い

これらの症状が見られる場合、妊娠悪阻の可能性が高いので、無理をせずに早めに受診するようにしましょう。

 

 

 

妊娠悪阻の症状の変化

妊娠悪阻の症状は以下のように段階的に悪化していきます。


●第1期(軽症期、嘔吐期)
・強い気持ち悪さ・嘔吐
・水分と食事摂取量が少なくなることにより、体重が減り、脱水症状を起こす

 

●第2期(重症期・肝腎障害期)
・さらに体重が減り、発熱や体温が低くなる、軽い黄疸の症状などが出る
・脱水により、おしっこの量が減り、おしっこと血液の濃度が濃くなる
・この時期に適切な治療がおこなわれると回復していく

 

●第3期(重症期・脳障害期)
・全身の循環が悪くなり、足に血栓などができやすくなる
・ビタミンB1が不足し、脳症状が起こり、命の危険に及ぶこともある

 

つわりは病気ではないと我慢せずに、悪化する前に早めに受診しましょう。

 

 

 

入院が必要なケースと治療内容・入院期間・料金

日本産科婦人科学会によると「(妊娠悪阻が原因で)入院治療を要するものは全妊婦の 1~2%」とのことです。妊娠悪阻は、症状が軽ければ通院による治療ができますが、症状が重くなった場合は入院をして治療することもあります。

 

●入院中の治療内容
心身の安静、点滴によるブドウ糖と電解質の補給、ビタミンB1の投与などが中心となります。そのほかにもカウンセリングなどがおこなわれます。


●期間
1週間~1カ月以上と、症状の程度によって期間に差があります。


●料金
産院や治療内容、入院期間によって入院費は、異なります。請求されるものとして、点滴や薬などの治療費、食事代、ベッド代などがあります。妊娠悪阻と診断されると健康保険の適応となるので、3割負担となります。ただし、ベッド代は個室などを選択された場合、費用は全額自己負担となります。


また、入院が長期化した場合、高額療養費制度の申請が可能です。高額療養費制度とは、1カ月の医療費が一定額を超えた分が払い戻される制度です。基準となる金額は所得によって異なるため、加入している健康保険組合に確認しましょう。

 

 

 

気になる赤ちゃんへの影響

妊娠悪阻に陥るとママ自身がつらいだけでなく、おなかの赤ちゃんのことが心配になるかもしれませんが、おなかの赤ちゃんには悪影響はなく、妊娠悪阻が原因で流産や死産が増えることもないと言われています。ただし、妊娠悪阻の症状が悪化すると、ママの命が危険にさらされますので、その場合は赤ちゃんにも影響が及ぶ恐れがあります。
 

 

 

対処法はあるの?

基本的には、つわりの対処法と変わりませんが、以下のような対処法があります。

 

●食べ物は少量を複数回に分けて食べましょう。食事の時間や内容にこだわらず、気分が少しでも良いタイミングで、食べられるものを食べましょう。


●水分をこまめに摂取しましょう。一度に飲もうとすると嘔吐してしまう恐れがあるため、数口ずつ頻繁に飲みましょう。


●妊婦用のマルチビタミンを活用し、葉酸とビタミン類を補給しましょう。つわりの症状が出始める前から服用し続けることで、予防効果があると言われています。


●体を休め、疲れにくい生活を心がけましょう。仕事や家事で無理をするのは避け、パパやご家族にも手伝ってもらい、ゆっくり休息をとりましょう。


●吐き気が止まらない、全身の倦怠感が長い間続いているなど、気になる症状がある際は無理をせず、かかりつけ医に相談をしましょう。


妊娠初期の場合、次の健診まで期間が空いてしまうことがあります。産院に行くべきか迷ってしまうかもしれませんが、症状がつらいときは受診して、医師の診断を受けましょう。


なお、産院への移動は、めまいや立ちくらみなどが起こりやすいので、注意して移動すると良いです。パパやご家族に付き添ってもらう、あるいはタクシーを呼ぶなど、安全に注意して移動しましょう。

 

 

 

まとめ

妊娠悪阻になるとママにとっては毎日がつらく、一日一日が長く感じられるかもしれません。自分の体のことや、おなかの赤ちゃんのことなど、不安に思うことも多いでしょう。症状がつらいときは、早めに適切な治療を受けることが大事ですので、気になる症状がある場合は我慢せずに受診しましょう。パパや両親など、周囲の人の助けを得ながら、無理せず、つらい時期を乗り切ってくださいね。

 

参考:
・日本産科婦人科学会「日本産科婦人科学会誌」,59巻11号,2007年11月,N-663(データ上p.1),参照2017-9-8
【参考元】                        
日本産科婦人科学会,「産婦人科診療ガイド 産科編2014」,p.108-109 (データ上p.127-128),参照2017-9-8
全国健康保険協会,「高額療養費制度が平成27年1月から変わります」, 平成26年11月14日,参照2017-9-8
・鈴木 理恵,岡本 陽子;妊娠悪阻を解説しよう! ペリネイタルケアPage28-31(2014)

 

 

 

 

 

◆つわりに関するQ&A

 

 

◆つわりの体験談

妊娠判明後、すぐにつわりがスタートしました。吐き悪阻と食べつわりのダブルパンチ。営業職だったこともあり、朝から晩まで働きながら、トイレと事務所と客先を往復する毎日でした。

 

好きだったものが急に食べられなくなったり、スーパーの売り場のにおいで吐き気を催したり、食べたすぐそばから戻したり、感情も体のコントロールもきかなくて大変でした。しかも、安定期に入るまではと、会社のメンバーには妊娠してると言うこともできず。パフォーマンスを落とさず仕事を続けることに必死でした。

 

でも、3カ月程たったころ、急につわりも楽になり。食べたいものを食べられるようになってからはケロッと元気に。つわりはいつか終わりがくるものですし、つわりがあるうちは赤ちゃんが元気な証拠だと自分にとっての励ましにもなりました。今、つわりで大変な妊婦さんも頑張って乗り越えてほしいです。

はる さん

妊娠5週目から吐き気がひどく、販売職なのですがたっていることができず、よく早退をしていました。妊娠6週目あたりから体のだるさを感じベッドから立ち上がることも食べることもお風呂などもすべてがだるく感じました。そのころから吐き気だけでは済まず、吐くようになり仕事に行くことが困難になったのでお休みをいただくようになりました。

 

それからは毎日寝たきりでしたが、においとかはまったく気にならず食欲がとてもあり焼肉やお寿司など全般なんでも食べることができました。ですが食べたあとに動いたり少しでも無理をするとすぐに吐いてしまい、1度吐き出すと飲み物すら吐くというような感じで仕事に行けない、家の中を動くこともままならないと、それがストレスでとてもイライラしていました。

 

まだ妊娠10週目でつわりは続いていて、いつ終わるのかとそればかり考えている毎日です。つわりに負けずに頑張りたいと思います。

てむ さん

去年の今ごろ、妊娠悪阻で入院していました。妊娠5週から嘔吐が始まり、最初は通院で点滴していましたが、点滴しながら嘔吐するという有様で、あっという間に悪化して妊娠6週から入院になりました。こちらから希望せずとも、先生から「入院してください」と言われるほどでした。

 

入院すると24時間ずっと点滴になりました。それでも効かず、病院食を止めてもらい、何も入っていない胃袋から少しの胃液を吐くばかり。たまにちょっと調子が良くなるとお菓子をかじることもありましたが、そのお菓子も吐く始末。夜中も吐くので寝られず、「何のための入院だ! 何のための点滴だ!」と思い、悔しさや悲しさで看護師さんに泣きついたこともありました。

 

食事の時間になれば、配膳車が廊下に来るので、食事のにおいでまた吐き...…。個室代を払う余裕がなく大部屋に入っていましたが、切迫早産の方と同室なので、同室の方は普通に食事をされます。だから部屋にいても食事のにおいがダメで、食事の時間になると、フラフラしながらにおいがしないところまで避難していました。

 

しかし、ある日、その同室の切迫早産の方が、「あの……体調いかがですか? 冷蔵庫にアイスを入れているんですが、もし食べられそうなら食べてください」と、遠慮がちに声をかけてくださいました。私がつわりで入院しているので、体調次第で声をかけていいものか迷ってやっと思い切って声をかけてくださったようでした。本当にありがたかったです。

 

それ以来、毎日のように同室の方が声をかけてくれました。食事の時も「今日のおかず、ちょっとにおいが強いですね。大丈夫ですか?」など。おかげで、点滴が効かずとも気持ちは楽になれました。

 

結局、私は2カ月も入院してから退院しました。でも、つわりの苦しみと共に、あのときにやさしく気づかってくれた切迫早産の方のことが良い思い出になりました。連絡先を聞かずに退院したのでもうご縁はありませんが、無事に切迫を乗りこえて出産できたかな? とか思ったりします。

 

私は、ありがたいことに最後は安産でした。わが子は、もうすぐ生後6カ月になります。コロコロとよく寝返りをして、家族を喜ばせてくれます。つわり真っ最中の方は、先のことなど考えても、希望は感じられないほどつらいですよね。でも、つわりで苦しんだ頃から丸一年経った私からは、「1年後、きっと子どもと笑って過ごせる!」と言わせていただきます。

アヤ☆ さん

1人目はほぼつわりなしで過ごし、実母も実姉もつわりがない人だったので、体質が似たんだ!ラッキーと思っていました。

 

2人目を妊娠。最初はよかったのですが、妊娠10週を超えたあたりから湯気でムカムカ、豚肉、生臭い魚貝類、エアコンのにおい、いろいろなにおいに反応、食事も胃が痛気持ち悪く量食べられず、唯一おいしく感じたのが日向夏と千切りキャベツ。調子が悪い間はそればっかり食べていました。

 

妊娠31週からの切迫早産入院中は薬の副作用も合間って、また食事が食べられなくなり、赤ちゃんも小さめだし体重が減少してきたので高カロリーの栄養補給点滴にプリンペランという吐き気止めを混ぜて3L/日打たれていました。

 

現在、3人目妊娠中。今回は前2人よりつわりがハッキリしていて、最初から体がだるい・眠い・常に気持ち悪い・いろいろなにおいがダメ・食べ物をみるとムカムカで仕事・家事・育児を休み休みじゃないときつかったです。

 

毎回病院の検査ではケトン体++~+++。でも吐くことはなく、動けるし、自力で水分・食事が少しは摂れていたので、体重減少しましたが特に何も言われず。

 

今妊娠31週ですが、今度は後期つわりなのかなんとなく気持ち悪い、食事が量食べられない、食べた後胃が痛気持ち悪くなるという状態に。赤ちゃんも基準値グラフの下限からはみ出るぐらいの小ささで、母体の体重も妊娠前+200gなので、吐き気止めを処方してもらい、急な体重増加には気をつけて食べられる物を小分けに食べるなど工夫していこうと思います。

 

こんなにも妊娠毎につわりの症状が違うなんてびっくりです! それに、親に似るとかあんまり当てにはならないと思いました。

cowboyママ さん

妊娠9週、つわりのピークだと思います。妊娠4週目から胃がムカムカしだしていました。臭いつわりがひどく、世界がこんなに臭かったのか……って思ってしまいます。タバコ、お酒、にんにく、体臭、洗剤、もう書き出したら止まりません……。画面酔いはないのでよかったですが、気持ち悪いせいか大好きだったゲームはやる気になりません。TVなど見てて顔の濃い人を見ると吐きたくなります。まだ終わりは見えませんがつわりに耐えて元気な赤ちゃんに会いたいです!

フネさん さん

現在、2人目を妊娠中、妊娠34週です。1人目も2人目も妊娠悪阻で食事はもちろん水分も摂れなくなり、どちらも2か月ほど入退院を繰り返しました。

 

食べていないので動く体力もなく、何もできず寝ているときだけ気持ち悪さから解放されますが、起きると地獄という、本当につらい日々でした。妊娠20週くらいになるとだんだん楽になって外出や外食もできるようになり、多少マタニティライフを楽しめるようになりました。

 

ひどい方だと出産まで続くそうですが、明けると本当に楽になります。出産してしまえば、子育ての忙しさが増えますが、体は楽になりますので、今はつらくても頑張って耐えてください! かわいいわが子に会えるのですから♪

ゆこ さん

3人出産しました。妊娠6週くらいから徐々に気持ち悪くなり、妊娠8週くらいからはもうずっと寝たきりです。寝ているとき以外は気持ち悪くて2カ月は地獄でした。でも必ず終わりが来ます! 今はとてもつらいと思いますが頑張ってください。

れあえママ さん

私の場合、1人目がひどく、2人目はまったくありませんでした。1人目のときは生理予定日の翌日から1週間、とにかく眠かったです。立っていても、話していても寝てしまう。その後は少量食べてもゲップが止まらなくなり翌日辺りから本格的なつわりが始まりました。

 

私の場合、食べたら吐く、食べなくてもよだれが気持ち悪くて吐くという症状でしたので、基本的にはトイレにずっといましたね。 脱水症状のため点滴に通いましたが、点滴で水分が増える、そしてよだれが増えるで点滴中にも吐いてしまい、その後入院中もずっと吐き続けていました。

 

吐き続けたせいで喉が切れたのか妊娠3カ月の終わりごろから妊娠5カ月まで毎日便器が真っ赤になっていました。つわりで体重が49kgから34kgまで落ちましたが、つわりが終わりその喜びで食べ過ぎてしまい、出産時には60kgになっていました。 医師にガッツリ叱られました。みなさんも気を付けてください。

ゆい さん

私は初期から中期ぐらいまでかなりつわりがひどかったです。毎日10回ぐらい吐いてごはんが食べられず、7kg痩せました。点滴して漢方を飲んでもなかなか良くならなくてつらかったです。家事もほとんどできず、少し無理して買い物に行ったら、スーパーで倒れてしまいました。かなり先生に叱られ反省……。でも子どもはすくすく成長して、緊急帝王切開でしたが無事出産できました。

あや さん

 

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監修者

助産師 YUKO


看護大学を卒業後、大学附属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。その後、私立大学看護学部の実習助手、市役所臨時職員の保健師を経て、ベビーカレンダーの記事執筆・監修に携わる。2015年に1児を出産し、現在子育て中。


2017/11/01

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