妊娠悪阻(にんしんおそ)とは?つわりとの症状の違いや対処法・治療方法について

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つわりが重症化した状態を指す「妊娠悪阻(にんしんおそ)」。妊娠悪阻は妊娠5週~16週頃に症状が出る方が多く、嘔吐や体重の減少が続くのが特徴です。妊娠悪阻になった場合、どのような治療がおこなわれるか、赤ちゃんに影響はあるのか、心配ですよね。こちらでは、妊娠悪阻の主な症状、治療内容、そして日頃からできる対策をご紹介します

 

 

妊娠悪阻の症状とは?つわりとは何が違う?

妊娠中に多くの女性が経験する「つわり」。食べ物の臭いで気分が悪くなったり、嘔吐したりと、つわりを経験したことがある方は多いのではないでしょうか。

 

つわりの時期はとても辛いものですが、このつわりの症状が悪化して「妊娠悪阻」となるケースがあります。食べ物から栄養を摂取できなくなると糖質が不足し、代謝の異常が生じ、有害物質であるケトン体が増加します。そのほか、ビタミンB1、ビタミンKが不足するなど、通常のつわりと比べると重い症状が出るのが特徴です。

 

つわりと妊娠悪阻には明確な境界がないものの、診断の目安として次のような点が挙げられます。


●つわり
・気持ち悪い、だ液が増える、頭痛、眠気、食欲がない
・妊娠15~16週頃には、おさまることが多い
・全妊娠の50~80%にみられ、初産婦に多い
・早朝のお腹が空いているときに症状が強い

 

●妊娠悪阻
・一日に何度も吐き、食事が取れない
・水分も取れない
・尿検査でケトン体が陽性を示している
・体重の5%または週に1~2㎏減る
・立っているとふらふらしてしまい、ずっと横になっていることが多い

これらの症状が見られる場合、妊娠悪阻の可能性が高いので、無理をせずに早めに受診するようにしましょう。

 

 

 

妊娠悪阻の症状の変化

妊娠悪阻の症状は以下のように段階的に悪化していきます。


●第1期(軽症期、嘔吐期)
・強い気持ち悪さ・嘔吐
・水分と食事が取る量が少なくなることにより、体重が減り、脱水症状を起こす

 

●第2期(重症期・肝腎障害期)
・さらに体重が減り、発熱や体温が低くなる、軽い黄疸の症状などが出る
・脱水により、おしっこの量が減り、おしっこと血液の濃度が濃くなる
・この時期に適切な治療がおこなわれると回復していく

 

●第3期(重症期・脳障害期)
・全身の循環が悪くなり、足に血栓などができやすくなる
・ビタミンB1が不足し、脳症状が起こり、命の危険に及ぶこともある

 

つわりは病気ではないと我慢せずに、悪化する前に早めに受診しましょう。

 

 

 

入院が必要なケースと治療内容・期間・料金

日本産科婦人科学会(※)によると「(妊娠悪阻が原因で)入院治療を要するものは全妊婦の 1~2%」とのことです。妊娠悪阻は、症状が軽ければ通院による治療ができますが、症状が重くなった場合は入院をして治療することもあります。

 

●入院中の治療内容
心身の安静、点滴によるブドウ糖と電解質の補給、ビタミンB1の投与などが中心となります。そのほかにもカウンセリングなどがおこなわれます。


●期間
1週間~1カ月以上と、症状の程度によって期間に差があります。


●料金
産院や治療内容、入院期間によって入院費は、異なります。請求されるものとして、点滴や薬などの治療費、食事代、ベッド代などがあります。妊娠悪阻と診断されると健康保険の適応となるので、3割負担となります。ただし、ベッド代は個室などを選択された場合、費用は全額自己負担となります。


また、入院が長期化した場合、高額療養費制度の申請が可能です。高額療養費制度とは、1カ月の医療費が一定額を超えた分が払い戻される制度です。基準となる金額は所得によって異なるため、詳しくは加入している健康保険組合にお問い合わせください。

 

 

 

気になる赤ちゃんへの影響

妊娠悪阻の症状に陥ると、ママ自身が辛いだけでなく、お腹の赤ちゃんのことが心配になりますよね。妊娠悪阻では、ほとんど食べられないことが多いので、不安となると思いますが、お腹の赤ちゃんには悪影響はなく、妊娠悪阻が原因で流産や死産が増えることもないといわれています。

 

ただし、妊娠悪阻の症状が悪化すると、ママの命が危険にさらされますので、赤ちゃんにも影響が及ぶ恐れがあります。
 

 

 

対処法はあるの?

基本的には、つわりの対処法と変わりませんが、以下のような対処法があります。

 

●食べ物は少量を複数回に分けて食べましょう。食事の時間や内容にこだわらず、気分が少しでも良いタイミングで、食べられるものを食べましょう。


●水分をこまめに摂取しましょう。一度に飲もうとすると嘔吐してしまう恐れがあるため、数口ずつ頻繁に飲みましょう。


●妊婦用のマルチビタミンを活用し、葉酸とビタミン類を補給しましょう。つわりの症状が出始める前から服用し続けることで、予防効果があるといわれています。


●身体を休め、疲れにくい生活を心がけましょう。仕事や家事で無理をするのは避け、パパや家族にも手伝ってもらい、ゆっくり休息をとりましょう。


●吐き気が止まらない、全身の倦怠感が長い間続いているなど、気になる症状がある際は無理をせず、かかりつけ医に相談をしましょう。


妊娠初期の場合、次の健診まで期間が空いてしまうことがあります。産院に行くべきか迷ってしまうかもしれませんが、無理は禁物です。症状がつらい時は受診して、医師の診断を受けましょう。


なお、産院への移動は、めまいや立ちくらみなどが起こりやすいので、注意して移動すると良いです。パパやご家族に付き添ってもらう、あるいはタクシーを呼ぶなど、安全に注意して移動しましょう。

 

 

 

まとめ

妊娠悪阻になるとママにとっては毎日が辛く、一日一日が長く感じられるかもしれません。自分の身体のことや、お腹の赤ちゃんのことなど、不安に思うことも多いでしょうが、早めに適切な治療を受けることが大事ですので、気になる症状がある場合は、我慢せずに受診しましょう。パパや両親など、周囲の人の助けを得ながら、無理せず、辛い時期を乗り切ってくださいね。

 

※参考:
・日本産科婦人科学会「日本産科婦人科学会誌」,59巻11号,2007年11月,N-663(データ上p.1),参照2017-9-8
【参考元】                        
日本産科婦人科学会,「産婦人科診療ガイド 産科編2014」,p.108-109 (データ上p.127-128),参照2017-9-8
全国健康保険協会,「高額療養費制度が平成27年1月から変わります」, 平成26年11月14日,参照2017-9-8
・鈴木 理恵,岡本 陽子;妊娠悪阻を解説しよう! ペリネイタルケアPage28-31(2014)

 

 


監修者:Yuko

看護大学卒業後、大学附属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務、私立大学看護学部実習助手、市役所臨時職員を経てベビーカレンダーの記事執筆・監修に携わる。現在一児の子育て中。

 

 

 

 

 

 

◆つわりに関するQ&A

 

 

◆つわりの体験談

妊娠発覚後、すぐに悪阻がスタートしました。吐き悪阻と食べ悪阻のダブルパンチ。営業職だったこともあり、朝から晩まで働きながら、トイレと事務所と客先を往復する毎日でした。好きだったものが急に食べれなくなったり、スーパーの売り場の匂いで吐き気を催したり、食べたすぐそばから戻したり、感情も体のコントロールもきかなくて大変でした。しかも、安定期に入るまではと、会社のメンバーには妊娠してると言うこともできず。パフォーマンスを落とさず仕事を続ける事に必死でした。

でも、3ヶ月程たった頃、急に悪阻も楽になり。食べたいものを食べられるようになってからはケロッと元気に。悪阻はいつか終わりがくるものですし、悪阻があるうちは赤ちゃんが元気な証拠だと自分にとっての励ましにもなりました。今、悪阻で大変な妊婦さんも頑張って乗り越えてほしいです。

はる  さん

妊娠五週目から吐き気がひどく販売職なのですがたっていることが出来ずよく早退をしていました。6週目あたりから体のだるさを感じベッドから立ち上がることも食べることもお風呂なども全てがだるく感じました。その頃から吐き気だけでは済まず、吐くようになり仕事に行くことが困難になったのでお休みをいただくようになりました。それからは毎日寝たきりで、匂いとかは全く気にならず食欲がとてもあり焼肉やお寿司など全般なんでも食べることが出来ました。ですが食べたあとに動いたり少しでも無理をするとすぐに吐いてしまい1度吐き出すと飲み物すら吐くというような感じで仕事に行けない家の中を動くこともままならないと、それがストレスでとてもイライラしてました…まだ妊娠10週目で悪阻は続いていていつ終わるのかとそればかり考えてる毎日です。つわりにまけずにがんばりたいと思います。

てむ さん

去年の今頃、妊娠悪阻で入院してました。5週から嘔吐が始まり、最初は通院で点滴しましたが、点滴しながら嘔吐するという有様で、あっという間に悪化して、6週から入院になりました。こちらから希望せずとも、先生から「入院してください」と言われるほどでした。入院すると24時間ずっと点滴になりました。それでも効かず、病院食は止めてもらい、何も入っていない胃袋から、少しの胃液を吐くばかり。たまにちょっと調子良くなるとお菓子をかじることもありましたが、そのお菓子も吐く始末。夜中も吐くので寝れず、「何のための入院だ!何のための点滴だ!」と思い、悔しさや悲しさで、看護師さんに泣きついたこともありました。食事の時間になれば、配膳車が廊下に来るので、食事の匂いでまた吐き...。個室代を払う余裕がなく、大部屋に入ってましたが、切迫早産の方と同室なので、同室の方は普通に食事をされます。だから部屋にいても食事の匂いがダメで、食事の時間になると、フラフラしながら匂いがしないところまで避難してました。

しかし、ある日、その同室の切迫早産の方が、「あの...体調いかがですか?冷蔵庫にアイスを入れてるんですが、もし食べれそうなら、食べてください。」と、遠慮がちに声をかけてくださいました。私がつわりで入院してるので、体調次第で声をかけていいものか迷って、やっと思い切って声をかけてくださったようでした。本当にありがたかったです。それ以来、毎日のように同室の方が声をかけてくれました。食事の時も「今日のおかず、ちょっと匂いが強いですね。大丈夫ですか?」など。おかげで、点滴が効かずとも、気持ちは楽になれました。

結局、私は二ヶ月も入院してから退院しました。でも、つわりの苦しみと共に、あの時に優しく気遣ってくれた切迫早産の方のことが良い思い出になりました。連絡先を聞かずに退院したのでもうご縁はありませんが、無事に切迫を乗りこえて出産できたかな?とか思ったりします。私は、ありがたいことに、最後は安産でした。我が子は、もうすぐ6カ月になります。コロコロとよく寝返りをして、家族を喜ばせてくれます。つわり真っ最中の方は、先のことなど考えても、希望は感じられないほど辛いですよね。でも、つわりで苦しんだ頃から丸一年経った私からは、「一年後、きっと子供と笑って過ごせる!」と言わせていただきます。

アヤ☆ さん

 

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2017/11/01


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